トップ > 賢人の食と心 > 祝御遷宮 伊勢神宮一覧 > 【特別企画】 祝御遷宮 伊勢神宮(神田編)

神田には、古代からお供えされていた品種だというものが、実はありません。 そこには、古代のものをそのまま継承するという考え方ではなく、その時代に一番良いおいしいものをお供えするという考え方を大切にしていたのではないかと思います。それに、どの稲も皇孫ニニギノミコトが授かった稲に通じるわけですから、よりおいしいと思われるお米を残していくことが大事なのではないかと思います。我々にとってはおいしくないけれど神様にはどうぞ、というわけにはいきません。よりおいしいもの、より良きもの、今最善に作られたものを神様へ捧げるということが、最大限の感謝の気持ちを表現する方法ではないかと思います。

神田の土手は、コンクリートが敷き詰められており、これは昭和初期に造られたものです。当時の最先端の技術をもって造られたのだと思います。その頃は現在よりも産業自体が華やかなもので、大切にされていた時代だったと思います。今は公害などマイナス面を意識してしまうこともありますが、産業がなければ社会は成り立ちません。また、お供え物というのは野に自然にあるものを適当に取ってお供えするのではなく、人間の手で作ったものを神への感謝の気持ちとして捧げるものですから、そういう意味でも現代の私たちが作ることの出来る最高のものをお供えすることが大切なのではないかと思います。

神宮には御料地という制度があり、神饌(しんせん:神へのお供え物)は神宮が管理して製産、調整をしています。その優れたところは、神宮神田や神宮御園(じんぐうみその:野菜や果物を栽培している農園)は、つまり神宮の直営ですから、農薬や肥料の使用量、生産者が誰であるかが明確であることだと思います。 最近は地産地消という言葉がよく聞かれるようになり、トレーサビリティ(※1)や生産者の顔が見えるように等の姿勢が評価されておりますが、神田や御園ではそのような言葉がなかった時代から続けてきたことなのです。ですから、食品に対する品質保持の意識を高い状態で保ち続けるには、御料地はとても素晴らしいシステムではないかと思っております。

※1 トレーサビリティ・・・食品がいつどこで作られ、どのような経路で食卓まで届いたかという生産の履歴を明らかにする制度。

 伊勢神宮ウェブサイト http://www.isejingu.or.jp/

日本人の主食として食べられているお米。幼い頃、誰もがお米には神様が宿っていると教わった記憶があるのではないでしょうか。古事記に「豊葦原の瑞穂の国」と書かれた日本は、天候と水に恵まれたお米作りに適した国であり、神宮は稲が無事に成長するように数え切れないほどのお祭りを行ないます。長きにわたり日本人の命がお米によって支えられてきたことを思うと、ただただ有難く、日々感謝をして頂かなくてはと改めて思いました。5月の初め、神田ではお田植えのお祭りが行われ、青々とした苗が植えられます。秋、神田の一面に波打つ黄金色の稲穂を想像しながら、次は「内宮(ないくう)」へと向かいました。

(2013年5月取材・文 島田優紀子)

*次回の「賢人の食と心」も是非ご期待ください。
内宮編へつづく

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