トップ > 賢人の食と心 > 祝御遷宮 伊勢神宮一覧 > 【特別企画】 祝御遷宮 伊勢神宮(内宮編)

荒祭宮(あらまつりのみや)
荒祭宮は、天照大御神様の荒御魂(あらみたま)をお祀りしており、内宮の第一別宮です。他の14の別宮と比べても御社殿自体が非常に大きく造られています。 5月と10月の14日には「神御衣祭(かんみそさい)」という、絹と麻の布と、それに針と糸を添えてお供えするというお祭りがあり、俗に神様の衣替えという言い方もします。織物は稲作文化と一緒に、日本の根幹産業のひとつでも有りましたから、新しい布を納めまして、神様のご神意を発揮していただくのが一番の目的になります。このお祭りは、内宮の御正宮とこちらの荒祭宮だけで行われます。 松阪市には「神服織機殿神社(かんはとりはたどのじんじゃ)」と「神麻続機殿神社(かんおみはたどのじんじゃ)」という神宮の所管社があり、そこに隣接する機殿(はたどの:機織作業をする場所)で、地元の織り子さんに1週間ずつかけて「和妙(にぎたえ:絹)」「荒妙(あらたえ:麻)」の反物を織っていただき、それをお供えします。その織物を作る御衣奉織(おんぞほうしょく)の行事は松阪市の無形民俗文化財になっており、春と秋の風物詩として親しまれております。

神宮をはじめ、全国の神社もそうですが、お祭りの多くは稲作のサイクルによって行われると言っても過言ではありません。2月には、その年の稲が豊かに実るようにという祈年祭からはじまり、神田での種まき、そして御田植えのお祭りをして、5月と8月に風雨の順調を祈るお祭り「風日祈祭(かざひのみさい)」を行い、9月には収穫のお祭りをいたします。更にそれに伴っていくつかの様々なお祭りも行われ、10月の神嘗祭に集約されていく。それを毎年続けて参りました。 天照大御神様が天孫である瓊々杵尊(ににぎのみこと)様を葦原の中つ国(なかつくに)に降ろされる際に稲穂を授け、「これを日本人の主食とするように。」と、稲を作るくらしがこの国の繁栄と平和をもたらすとお教えになられてから、神宮は2000年以上もその教えを大切に守り続けてきたお宮なのです。

式年遷宮は、日本人の衣・食・住の粋を結集したお祭りと言えます。「衣」は着るもの。これは、遷宮のたびにお供えされる御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)のこと。人間国宝の方々も含め、当代一の技術者によって、それらがすべて古来のままに作られて、2つの御正宮、14の別宮合わせて、714種、1576点の御装束神宝が奉納されます。そして、「食」はその年に採れた新穀を神嘗祭(かんなめさい)にてお供えしますが、式年遷宮は20年に一度の「大神嘗祭(だいかんなめさい)」の意味を持っています。そして、「住」に関しましては、唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)の木造建築を20年に一度建替えていきます。これらは、非常に我々の生活と密着しておりますので、伊勢の神宮に来られますと日本の様々なことがわかると思います。日本人とは何か、日本の文化とはどんなものか、そのアイデンティティを求める意味合いで、神宮にお越しいただき、見て、感じていただけたらと思います。海外の文化や思想を知り、国際化することも重要ですが、同時に我々日本人がどういうアイデンティティで、どういう国民なのかということを海外の方々に知って頂くことも、非常に重要だと思います。神宮へのご参拝がそういったことを考えるきっかけとなりましたら、我々としましても幸いでございます。

伊勢神宮ウェブサイト http://www.isejingu.or.jp/

日本人は、昔から「八百万の神(やおよろずのかみ)」として大自然の中にいつも神を感じていました。天照大御神は天地を照らし、生命を育む太陽にもたとえられます。太陽の光がなくては水も空気も緑も、どんな命も存在することができません。大切なものだから、常に在り続けなければならないものであるから、人々は感謝し、いつまでも瑞々しくあるように祈りを奉げてきました。そして、その祈りが祭事として行われるようになり、日本の文化を今に繋いできたと思うと、神宮で20年に一度行われる式年遷宮は尊く、日本人としての誇りだと感じたのです。 伊勢の神宮をお参りして、私たちの祖先たちは何を思い、何を理想としてきたのか、そして、長い歴史の中で、何を大切に守ってきたのかを考えることで、自分が生まれた国や文化により一層の誇りが持てるのではないかと思いました。神宮は、日本人が古来より祭儀を繰り返すことによって、常に新しく生まれ変わってきた、唯一の「常世」であるのかも知れません。

(2013年3月取材・文 島田優紀子)

*次回の「賢人の食と心」も是非ご期待ください。

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