トップ > 賢人の食と心 > 園部 晋吾 様(後編)

430年以上絶えることなく続いて来た理由

私がこの店の主人としていつも考えていることは、私がここでこういう行動をしたら、次の代やその次の代になった時、どのような影響を及ぼすだろうということです。

後の代の為にならないと思うことはやらずに、後々残って価値になるものだったらやろうというふうに、何かを決断するときはいつも先のことを考えます。

平八茶屋の名物の一つにもなっている庭も、少しずつ変えています。お越しになったお客様にほっとしていただけるような、柔らかい雰囲気の庭にしたいと思っています。これも、後の代に良いものを残したいという思いから、私の代になって新しい庭師さんと色んな話をしながら10年の計画で手入れをして頂いています。

それから、200年程前に建てた母屋の瓦を全て変えて、壁の漆喰を塗り直しました。後に残すためにはここで修理をしておかなければと判断したのです。

創業当時から出していた「麦飯とろろ汁」という料理が今も残っているように、明治時代の当主が作り上げた「川魚料理」も、父が作った「ぐじ料理」もずっと残して行きたいと思います。そして、私が次の代に包丁を譲るまでに、代々受け継がれるような平八茶屋の名物をもう一つ増やしたいと思っています。

■店舗情報■
山ばな 平八茶屋|京都府京都市左京区山端川岸町8-1|電話075-781-5008|水曜休|http://www.heihachi.co.jp/

茶店の面影を残す朱塗りの母屋、光を通す木々の庭、心地良い高野川のせせらぎ。そして、温かいおもてなしと、一つ一つ丹念に仕立てられた料理の数々。入り口にある騎牛門をくぐった時から、日本が世界に誇る伝統文化の豊かさを感じました。その店が絶えることなく続いていくためには、時代の流れと共に変わっていくことだというご主人のお話に、伝統とは同じことの繰り返しだけで形作られたものではないのだと知りました。 昔も今も人々の記憶に残る、「変わらない平八茶屋の味」には、それぞれの時代を生きた当主の心が込められているのだと思います。 21代目主人である園部晋吾さんが作る新たな歴史と、次世代を生きる子ども達に食文化を伝える活動によって、これからも多くの人々に、受け継がれてきた心が繋がっていくことでしょう。

(2013年9月取材・文 島田優紀子)

*次回の「賢人の食と心」も是非ご期待ください。
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