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神戸は全国でも圧倒的にパン屋の多い地域。家庭ごとにごひいきのお店があったりもします。今回は、口の肥えたツウたちの間でひそかな人気を集めている、隠れ家的パン屋におじゃましました。

元たばこ屋の面影が残る店の一角。たばこが並んでいたガラスケースには今ではパンが。

パン好きに評判の隠れ家店。

「多井畑の厄神さん」の愛称で知られる神戸市須磨区の多井畑八幡神社。その隣にひっそりと明かりを灯すパン屋、味取(みどり)があります。元々はたばこ屋だった店舗を、昔ながらの面影を残してリノベーション。たばこの対面販売スペースや古い看板からは昭和が香り、どこか懐かしさが感じられます。須磨区は店主仲村さんの地元。幼いころから馴染みのあったのんびりとしたたたずまいに惹かれ、空き店舗となっていたこの場所を借り受けて6年前に店をオープンしました。最寄り駅からはバスを乗り継ぎ約15分。少々不便な場所にありますが、車で訪れる人も多く客足は絶えません。西宮や明石から通う常連さんもいて、週末には早々に売り切れしまうこともあるそう。パン屋激戦区の神戸にあって、パン好きの間では評判の隠れ家的名店です。

全粒粉とライ麦粉を入れたカンパーニュ。小麦粉の豊かな風味が楽しめる一番のオススメパン。大サイズと中サイズがあります。

素朴でやさしい味のパン。

「小麦粉本来のおいしさを存分に味わってもらえたら」と、作り手の想いを静かに語る仲村さん。店内にはハード系のパンを中心に、定番のメロンパンやクリームパンなど、ほっと和ませるやさしい味が並びます。天然酵母で仕込み、手間暇を惜しまないのが味取らしさ。国産小麦粉やオーガニックのドライフルーツを使うなど、安心・安全にも心を配ります。25~30種類ほどあるパンのなかでも一番人気はカンパーニュ。噛みしめるたびに小麦粉の甘さが増し、天然酵母ならではの豊かな風味もふわりと鼻をくすぐります。「そのまま食べても味わい深いですが、サンドウィッチにしたりスープと合わせて食べるのもおすすめ」と仲村さん。カンパーニュの生地にクルミやドライイチジクを加えてアレンジしたパンは、薄くスライスしてティータイムのお供にもぴったりです。

工房は店の奥にあり、焼き上がったものから店頭へ。少量ずつしか焼けないため、売り切れ次第閉店に。

随所に光る職人の心意気。

午前3時過ぎ。店舗の奥にある工房では、1人黙々と作業を進める仲村さんの姿があります。生地をこねるのは、経験から培った手の感覚が頼り。その日の気候を読みながら水加減や温度を微妙に調整し、毎日同じ状態にもっていかないと思った味にはたどり着きません。特に季節の変わり目はその感覚をつかむのが難しくなると言います。「毎日パンを焼いていても、全種類を自分の納得のいくものに仕上げるのはなかなか。今日はここがダメだったなと反省するところが出てくるものです。でも、毎回同じように焼き上がらないところが、パンづくりのおもしろさなのかもしれません」。紡ぐ言葉に、パンへの真摯な姿勢がのぞきます。 バターや小麦粉など、パンにとって大事な食材がどんどん高騰している昨今。素材はなるべく良いものをと思う一方で、高いパンは作りたくないというのが仲村さんの本音です。「暮らしに寄り添う素朴なパンを、これからもマイペースに作り続けていきたいですね」。食べる人の笑顔を思い浮かべながら、今日もひたむきにパン生地と向き合います。

味取のおすすめ

シナモンロール

シナモンシュガーを巻きこんだ、ふんわりとやさしい味わい。おやつや朝食にぴったりです。

黒糖ぱん

沖縄産の黒砂糖の甘みがほんのり。バターなどの乳製品は使わず、豆乳を加えてもっちりとした食感に仕上げています。

いちじく

オーガニックのいちじくがたっぷり入った、噛めば噛むほど味わい深いハード系のパンです。

チョコとクランベリー

ココア生地にチョコチップとクランベリーを練りこんでいます。

DATA:

天然酵母パン 味取

兵庫県神戸市須磨区多井畑清水30-1

TEL 078-743-3466

営業時間 11:00~19:00(売り切れ次第閉店)

定休日 月曜・火曜・第3水曜

(2014年12月 現在)

 

味取 からのメッセージ

天然酵母のパンは苦手という人にも親しんでもらえるよう、食べやすく作っています。土日はお客さんが集中することも多いですが、平日はゆっくりお買い求めいただけると思います。お目当てのパンは事前に予約のお電話が確実です。

【取材レポート】
言葉の響きが印象に残る味取という店名は、兵庫県香美町に実在する地名に由来しています。「味取は父の出身地。とても田舎なのですが、海、山、川が近くて自然豊かな場所です。幼いころから味取が大好きで、店の名前にしました」と仲村さん。ふと頭の中に浮かんだ郷愁を誘う風景と、ノスタルジックなお店のイメージが、どことなく重なります。味取の看板は控えめに掲げてあるので、初めて訪れる人はちょっぴり目に留まりにくいかもしれません。たばこ屋さんの外観を目印に。

 

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