トップ > 食育特集 > File.14(1)

特集メインタイトル

侘びさびを重んじる京都の伝統文化が生んだ「生麩」。情緒ある味わいは、口にするたび日本人の心を静かに揺さぶります。生麩専門店として150年以上の歴史を誇る老舗「麸嘉(ふうか)」では、職人による手仕事が健在。手間を惜しまず慈しみながら作られた生麩には、作り手の誠実な心が滲んでいます。

麸嘉(本店)

京都府京都市上京区西洞院椹木町東裏辻町413 075-231-1584
http://www.fuka-kyoto.com/
慶応年間創業の京生麩の専門店。専門店としては最古で、京都御所に生麩を納めていた記録も残されている。現在は受注生産で、井戸水を使った職人による手作りにこだわる。生麩は伝統的な味のほかに、季節の食材を練り込んだものも製造。匠の技が生きる細工麩には四季の彩りが添えられ、目でも楽しませてくれる。こしあんを生麩で包み笹の葉にくるんだ麩饅頭は同店が発祥。いずれの商品も本店では販売を行わず、錦店他で購入可能。

生麩作りの朝は早い

生麩作りは、深夜からはじまります。

夜もすっかり更け、街が寝静まる深夜1時半ごろ。生麩の老舗「麸嘉」の1日は慌ただしく始まります。早出の職人が仕事場の灯りをともすと準備を開始。まだ日が昇りきらない早朝4時には職人たちが全員そろい、息を合わせて作業を進めていきます。麩嘉の生麩は手作りが基本。長く伸ばした生地にぐっと視線を寄せ、空気が入っていないか細部までチェック。リズムよく秤に乗せて生地を計量すれば、同じ目盛りにぴたり。体で覚え込んだ動きに一切の無駄はありません。時折響く威勢の良い声が活気と緊張感を高め、工場全体が次第に熱を帯びていきます。「もうそろそろええんちゃうか」。生麩作りの指揮を執る7代目小堀周一郎さんが職人の1人に声を掛けました。大きな蒸し器の扉が開き、一瞬視界をさえぎるほどの湯気がふわり。木枠から素早く取り出し水に放して冷やすと、艶やかでみずみずしい生麩の出来上がりです。

もっちりとした歯ごたえと滑らかな口当たり。出来立てをそのまま刺身のように食べてもよし、時間が経って締まったものを煮物や蒸し物にしてまたよし。生麩は調理方法によって幾通りにも味わいを深める名脇役です。

食育大事典facebookページ
ページのTOPへ