トップ > 食育特集 > File.46(1)

特集メインタイトル

京都に名物料理は数あれど、湯豆腐もその一つ。静かに立ち上る湯気の向こうに豆腐が揺らいだら、すっとすくって口の中へ。滋味深い味わいが広がり、体を芯から温めてくれます。京の名料理店に豆腐を卸し、湯豆腐人気を支えてきた「南禅寺豆腐屋 服部」。三代目にこだわりの味と製法についてうかがいました。

南禅寺豆腐屋 服部

京都市左京区黒谷町3番地 075-771-0114 http://www.nanzenjitofu.jp/
明治43年創業。南禅寺門前の豆腐料理店に豆腐を卸すほか、市場への出荷や店での小売りを行う。三代目服部一夫氏は代々譲り受けた製法で豆腐作りに毎日汗を流す傍ら、国産大豆からしぼった豆乳に粗製海水にがりを加えて作る江戸時代の南禅寺豆腐を独自に研究。製法を模索し、商品化を実現する。豆腐職人としての真摯な姿勢と味が認められ、平成6年には唯一、南禅寺御用達豆腐の名を受けた。

精進料理から派生した湯豆腐

100年以上に渡り、京都で豆腐作りに励む服部。味に厳しい京都の料理人たちから厚い信頼を寄せられています。

豆腐は毎日食べても飽きのこない食材。調理方法や調味料によって柔軟に変身することから、和食だけでなく中華や洋食にもアレンジされています。ヨーロッパや欧米では“tofu”と呼ばれ、ベジタリアンの多い海外でも人気者。高タンパク低カロリーで美容と健康の味方となってくれるヘルシーフードです。

その起源は中国にあり、唐代の中ごろに誕生したといわれています。日本に伝わったのは奈良時代から平安時代にかけて。中国に渡った遣唐使の僧侶たちによりもたらされ、当初は精進料理に使われていました。室町時代に製法が奈良から京都へと伝わると、水の良さから生産されるようになり、さまざまな豆腐料理が生まれるなかでいつしか湯豆腐が広がったと考えられています。

江戸時代に入り、南禅寺など社寺の門前には参拝者に精進料理を振る舞う店が現れ、湯豆腐をはじめとする豆腐料理が庶民にも浸透しました。しかし昭和初期まで湯豆腐料理店は少なく、戦後の高度経済成長で京都に観光客が増えると、その数も右肩上がりに伸びました。

京の名店に服部の豆腐あり

「毎日豆腐を真剣に作っていると過去の経験がいつの間にか線になってつながります。引き出しが多くなるとわからんかったことがだんだんわかるようになるんですよ」と服部さん。

「今は南禅寺あたりでも豆腐料理店はずいぶんと少なくなりましたなぁ。昔は南禅寺塔頭でも参拝客に湯豆腐が出されていたことがあったんですよ」と話すのは、京都で100年以上続く「南禅寺豆腐屋 服部」の三代目服部一夫さんです。長年、南禅寺にある湯豆腐の名店「順正」に丹精込めて作った豆腐を納めてきました。

服部は京の落ち着いた風情が残る住宅街にひっそりとあります。一般のお客さん中心の商売ではないため、店舗やショーケースは設けていません。前日に取引先からファックスやメールなどで注文を受けた分を生産し、市内は自社で配達するなど、鮮度に重きを置いた丁寧な豆腐作りを続けてきました。

「朝の2時半には作業が始まるんで、早いもんは1時半ごろには出勤して注文票を貼って準備し、その日の仕事を進めていきます。お付き合いの長いところばかりやし、毎日そないに大きく数が変わることはありませんが、秋が1年のうちで一番忙しくなりますなぁ」。

食育大事典facebookページ
ページのTOPへ