トップ > 食育特集 > File.48(2)

特集メインタイトル

症状は全身に及ぶことも

では食物アレルギーになるとどのような症状が出るのでしょうか。発症部位や症状の程度には個人差がありますが、一般的に症状が出やすいとされているのが口と皮膚。口の中にピリピリやイガイガとした刺激を感じたり、唇や舌が赤く腫れ上がったり、皮膚にはかゆみを伴うじんましんや赤みが広がったりします。 そのほかの主な症状は以下の通りです。

1)目のかゆみ、充血、まぶたの腫れ
2)くしゃみ、鼻水、鼻づまり
3)咳が出る、息苦しい、ヒューヒュー・ゼーゼーするなどの呼吸器症状
4)腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状
5)脈が不規則、血圧低下、手足が冷たいなどの循環器症状
6)ぐったりして元気がない、意識がもうろうとしている   など

いずれの症状も発症までの時間は人によって異なります。食べたり接触したりするとすぐに現れることもあれば、半日以上経ってから始まることもあり、体の異変に気を配っておくことが大切です。

発症しても、部分的な皮膚の赤みのみにとどまるなど症状が比較的軽めなときは、慎重に経過観察を行い、病院から処方されている薬を飲むなど適切な処置を施せば心配はいりません。けれども、血圧低下や意識障害などを伴うアナフィラキシーショックや呼吸困難が起こったときは、命に関わる可能性があり非常に危険です。末廣先生は「全身症状が出て体がだるかったり頭がぼーっとしてきたときは、アドレナリン自己注射用ペン型注射器(エピペン®)を持っている人はまず自分で打ち、その後速やかに医療機関へ行ってください。また、3回以上の嘔吐が続くときは即救急車を」と呼びかけます。

皮膚からもアレルゲンは侵入する

ここ数年の研究で、食物アレルギーはアレルゲンとなる食品を食べて発症するだけでなく、皮膚からアレルギーの原因物質が入り込み、引き起こされることも明らかになってきました。これを経皮感作(けいひかんさ)といいます。

「人間はウイルスやばい菌などの外敵から身を守るため、全身を皮膚に覆われていますが、その厚みはわずか10ミクロンとラップ1枚程度。特に赤ちゃんや幼い子どもの繊細な皮膚は湿疹などになるとすぐに傷ついてバリア機能が破壊されてしまいます。バリア障害を起こした皮膚がアレルゲンに触れると、体内に侵入し食物アレルギーになってしまうのです」と末廣先生。また、イギリスでピーナッツを食べるとアナフィラキシーショックを起こす人を調べたところ、90%以上が赤ちゃんのときにピーナッツローションでケアされた経験があったことがわかり、経皮感作と食物アレルギーの関係性を裏付けるとして注目されました。

赤ちゃんのころから皮膚を健康に保つことや、アトピー性皮膚炎のある子どもに対しては適切な治療と十分な保湿を行い、しっかりとバリア機能を回復させることは食物アレルギーの予防・治療につながるといえます。

花粉症との意外な関係

花粉症が引き金となり食物アレルギーを発症する例も年々増加しています。末廣先生によると、生のフルーツや野菜、ナッツ類にはスギやヒノキ、ブタクサなどの花粉のアレルゲンと共通するアレルゲンが含まれているとのこと。たとえば、スギ・ヒノキ科の花粉はトマトと関連性があり、スギ・ヒノキ科の花粉でアレルギーが起こる人は、トマトを食べたときもアレルギー症状が出ることがあります。ハンノキやシラカンバはリンゴ、モモ、イチゴ、メロン、豆乳など、さまざまな身近な食べ物との関連性が報告されており、知らずに食べ続けて症状が悪化してしまう人もいます。さらにハチミツも要注意と末廣先生。

「ハチミツは製造過程で除去しきれない花粉が混じっており、そばアレルギーのある人はそばの花から採取したハチミツを食べるとアレルギーを引き起こすことがあります。重篤な症状になるまでに、口の中がピリピリしたり軽めの症状が出るはずなので、少しでもおかしいなと感じたらすぐに食べるのをやめること。その後も絶対に食べてはいけません」。 花粉症から食物アレルギーになる人は年齢を重ねても引き続き悩まされることが多いので、深刻になる前に一度専門医の診察を受けておくと安心できるでしょう。

食育大事典facebookページ
ページのTOPへ