トップ > 食育特集 > File.49(2)

特集メインタイトル

鮮烈な印象を残す1杯を導き出す

田村さんが淹れる水出しのお茶は、味も香りも驚くほど濃密。脳裏に鮮烈な印象を残すスペシャルな1杯です(画像上)。
フィルターインボトルを使い、お湯と氷で抽出した冷たいほうじ茶。烏龍茶に負けない高い香りと香ばしい味わいを備えています(画像下)。

「同じ茶葉を使っても、抽出方法によって色や風味にくっきりと違いが出るのが日本茶のおもしろいところ。やさしく抽出すると、味も香りもまろやかになります。一般的に氷水で出すお茶は頼りないと思われがちですが、決してそんなことはありません。私の手法だと口の中でのインパクトは大きいでしょう。香りは本来熱湯で注いでこそ引き出されるものですが、冷水でも香りが立つということは、よほど濃く満ち溢れている証拠です」。

陶器の急須に水滴の汗をかかせ、ガラスのグラスでサーブするのも涼やかにみせるための演出。見た目も日本茶をおいしく飲むための大事な要素だというのが田村さんの持論です。

「私の中でお茶の淹れ方に決まりはありません。堅苦しいと面倒になるのは当たり前。出汁の取り方でも料理人によって違いがあるように、お茶にもいろいろな概念があっていいと思います。シンプルに『飲みたい』『おいしい』と思ってもらうことが一番です」。

マニアな世界を伝える通訳者に

急須を使ってお茶を飲む文化をもう一度日本に定着させることが田村さんの目指すところです。

日本茶のニッチな世界をとことん突き詰めていく日本茶鑑定士。日本茶鑑定士になるためには、まず年に一度、茶業者間で開催される全国茶審査技術競技大会に出場しなければなりません。お茶のオリンピックとも呼ばれるこの大会には、全国からお茶のスペシャリストたちが集結。嗅覚や味覚といった五感を研ぎ澄ませ順位を争います。激戦を勝ち抜き、優秀な成績をおさめた者の中から鑑定士の候補生を選出。2年以上の研修と論文を経て、ようやく有資格者として認定されます(現在、資格の募集はなし)。

日本茶鑑定士は非凡な才能を持ち、マニアックな領域に達している人が多いと言う田村さん。茶葉をひと目見ただけで、産地はもちろん育ってきた畑の環境や害虫のつき方までわかるほどだとか。「私も資格は得ましたが、匠たちの足元にも及ばず、落ちこぼれと言っていいほど。最初は日本茶鑑定士と名乗るのが恥ずかしくて、大っぴらにはしていませんでした。

けれども、自分が納得できる良いお茶を提供したいと、仕事に情熱を注いでいる茶業者を知るうちに、私の中で考え方に変化が生まれて。マニアな世界のすごさやすばらしさを一般の人に知ってもらうためには、わかりやすく伝える通訳者が必要だと思うようになりました。じゃあ私がその役を買って出ようと活動を始め、ようやく日本茶鑑定士と胸を張って言えるようになったんですよ」。

食育大事典facebookページ
ページのTOPへ