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兵庫県のほぼ中央に位置する多可郡多可町。その静かな山間の村に、朝早くから現れる長蛇の列。警備員が汗を流して誘導する車には、県外のナンバープレートも目立ちます。逸る気持ちを抑え、整理券を手にしたお客さんが買い求めるものは…。

自慢の巻き寿司は1本1本手作り。あれよあれよという間に巻いていくおばちゃんたちの手さばきは鮮やか。

行列ができる巻き寿司。

鳴り響く電話の対応に追われながら、この日も厨房は大忙し。商品は店頭に並べるそばから売れ、正午すぎには棚が空っぽになることも。ここは地元の特産品の開発や販売を地元のおばちゃんたちが中心となって行う「マイスター工房八千代」。丁寧に仕込む手づくりの味がうけ、連日大賑わいです。
看板商品の「天船(あまふね)巻き寿司」は極太きゅうり、玉子焼き、しいたけなど、はちきれんばかりに具材を巻き込んだ逸品。兵庫の名ブランドとして「五つ星ひょうご」にも選ばれ、休日には1,700本が完売するほどの人気です。ダイナミックな見た目と味の良さから多くのメディアで紹介されて、今や知名度は全国区。「ケチケチするのは好きじゃない。お客さんの期待に応えたいと思うと、どんどん太くなってしまうのよ」。売り出し当初の1.5倍ほどになった天船巻き寿司を前に朗らかに笑うのは、施設長を務める藤原たか子さんです。

出来立てのお惣菜も人気。アツアツサックリの山里コロッケは、おからや野菜がたっぷり入ってヘルシー。

ひらめきから生まれる逸品。

「どこにもない地元産のものを作りたい」。藤原さんの熱意から天船巻き寿司は生まれました。1本に込めたこだわりも人一倍。食材はできる限り兵庫県産。海苔1枚にも、年配の人がかみ切れるものをと吟味し、きゅうりの厚さや玉子の焼き加減にも気配り。毎回味見をしては食べ応えや味のバランスを微調整します。現在300種類以上あるというオリジナル商品はすべて藤原さんのアイデア。
レシピはなく「感ピューター、ベロメーター、ハンドパワー」で調理します。「商品開発をするうえでの合言葉は"食材を見捨てない"こと。農家さんに頼んで超極太に栽培してもらっているきゅうりは、一番良い部分は巻き寿司に、水気の少ないところはジャム、切れ端はピクルスやからし漬け、皮は佃煮にしてしまうの。食材はすべて使い切るので生ごみがほとんど出ません」。そのほかにも、ピクルスの漬け液を酢飯にしたり、八千代特産の高野豆腐の粉をスイーツにしたり。素材を眺めていると次々と新商品のネタが湧いてくるというから、そのエネルギーに脱帽です。

この日は大きな釜で10キロもの干ししいたけを炊き上げたそう。丁寧にカットして寿司の具材に。

味を支えるチームワーク。

陽が昇らないうちから作業を進めるのは30人の女性スタッフたち。平均年齢57歳、最高齢83歳とは思えないほどテキパキと見事な動き。厨房はいつも笑顔と活気に満ちています。おいしいものをお客さんに届けることができるのはチームワークがあってこそ。藤原さんはスタッフの誕生日にお手製のデコレーション寿司を振舞い、感謝の気持ちを忘れません。「60歳からでもイキイキと働ける場所はそうないもの。おせち、節分、秋祭りのシーズンは徹夜作業になることもあって仕事は厳しいけれど、普段は和気あいあい」。ひと仕事を終えたお昼のまかないには、高らかな笑い声がこだまします。
「私たちは田舎の普通のおばちゃん。最初はマイスター(職人、匠)という店名に気おくれしたこともあったけれど、今ではその通りに人が育ったと思っています」と自信をのぞかせる藤原さん。愛情の深さがおいしさの隠し味。幾度も立ち寄りたくなる"田舎のコンビニ"は、今日もおばちゃんたちの温もりにあふれています。

マイスター工房八千代のおすすめ

天船巻き寿司

きゅうりを2分の1本使ったこだわりの巻き寿司。濃いめに味付けられた具から食べ、最後にきゅうりで口の中をさっぱりと。

バラエティ豊かな巻き寿司

鯖、鮭、穴子などをメインに巻き込み、どれも食べ応えは満点。藤原さんが考えるネーミングがユニークです。

マイスターのおとめ焼き

オリジナルのキャラクター、おとめちゃんの焼印がかわいい焼き菓子。地元特産の高野豆腐の粉入り。

きゅうりを使った商品

きゅうりから生まれた商品たち。皮を甘辛く味付けした佃煮はまるで海苔のような風味でおつまみにぴったり。

DATA:

マイスター工房八千代

兵庫県多可郡多可町八千代区中村46-1

TEL 0795-30-5516

営業時間 10:00~16:00 (商品がなくなり次第終了)

定休日 月・火・水

URL http://www.hari-hari.com/sg-meister.html

(2014年11月 現在)

 

マイスター工房八千代 からのメッセージ

地元のおいしい食材をおいしく調理しています。新商品も続々登場しますので、ぜひご賞味ください。また、併設する「喫茶マイスター」はお越しいただいた皆様の憩いの場として、軽食や定食などを用意していますのでお気軽に!

【取材レポート】
店がオープンする10時には、予約以外に最低でも500本の巻き寿司を用意していないと、押し寄せるお客さんの波に追いつけないそう。取材に訪れた日は、秋祭りの前日ということもあってか、まとめ買いの人が続々と来店。巨大な保冷バッグや発泡スチロールの大きな箱を重たそうに抱えたお客さんが目立ち、あっという間に売り切れていました。秋祭り当日にはお弁当やオードブルの予約が入っているため、店は臨時休業。その忙しさは記者の想像をはるかに超えていました。

 

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