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日本で初めて幕の内駅弁が販売されたのは、今から120年以上も前のこと。その生みの親であるまねき食品で、当時の駅弁にまつわるエピソードや姫路名物となった「えきそば」についてうかがいました。

販売を始めたころの駅弁は立ち売り。お客さんが売り子を呼び止め、窓越しに弁当とお茶を渡していました。

幕の内駅弁は姫路駅から。

のんびり景色を眺めながらゆく鉄道の旅。各駅で目にする駅弁はその土地ならではの味を詰め込んだ、旅の醍醐味でもあります。駅弁が誕生したのは、鉄道が全国に拡大していた明治22年。姫路駅構内で幕の内スタイルのお弁当とお茶を立ち売りで販売したのが原点と言われています。発案者は姫路駅付近で茶店「ひさご」を営んでいた竹田木八氏(まねき食品創業者)。山陽鉄道(現在のJR西日本)の兵庫~姫路間の鉄道開通に伴い、竹田氏のもとへ駅弁製作の依頼が舞い込んできたことがきっかけでした。当時、鉄道に乗って旅をすることは、庶民にとって特別なハレの日。少しでも豪華な弁当を提供したいと、アイデアマンだった竹田氏は知恵を絞りました。そこでひらめいたのが、鉄道に乗ること同様、特別とされていた芝居見学。幕間に食べる幕の内弁当からヒントを得て、ごはんとおかずを経木の二段重に詰めた「幕の内駅弁」の形が生まれました。

見た目にも豪華な元祖幕の内駅弁の復刻品。経木のお重は香りが良く、程よくごはんの水分を吸っておいしさも倍増。(注文は予約受付のみ)

高級食材をたっぷり詰め込んで。

元祖幕の内駅弁のふたを開けると、伊達巻き、焼き魚、焼きかまぼこ、空豆、たけのこ、百合根の煮物など、贅沢なおかずがぎっしり。販売価格は当時十二銭だったそうで、米一升が六銭という時代にかなり高級な食べ物だったことがうかがえます。「今、この駅弁を再現しようとすると、かなりの手間とコストがかかるんです」と話すのは、まねき食品総務部長の貝原さん。最初に復刻品を作ったときは、当時のレシピが残っておらず手探り状態。食材の調達や仕切りのない経木のお重に美しくおかずを詰めるのも大変だったそうです。元祖から始まったまねき食品の駅弁も現在は20種類に。「幕の内味づくし」は元祖の味が進化したもので、地産地消をテーマにれんこんやたけのこなど、地元自慢の食材をこだわりの味付けで調理し販売しています。

だしの香りが食欲をそそるえきそば。1杯360円という気軽さもファンを増やしている理由の一つ。

奇想天外のマッチング「えきそば」。

また近年、数々のメディアで取り上げられ一躍有名になったのが「えきそば」。終戦後の何もない混乱期に、駅で温かい麺を食べてもらおうと開発されました。当時は小麦粉が国の統制品で入手困難だったため、こんにゃく粉とそば粉を混ぜた麺を使っていました。しかし劣化が早く、ベストな状態でお客さんに提供するには不向き。そこで試行錯誤の末にたどり着いたのが黄色い中華麺。かつおのきいた和風だしを合わせ、乾燥えびがちょこんと乗った平たい天ぷらをトッピングするユニークな商品が完成しました。65年以上守り続けた味は、いつしか多くの人から支持される人気商品に。関西出張の際にえきそば目当てで姫路駅まで足を延ばすサラリーマンや、数年前に姫路駅を改装する時には、ホーム上からえきそばが消えてしまうのではと危惧したファンがJRに存続を直訴したという逸話も。それほどまでに愛されてきた1杯は、これからもたくさんの人々の体と心を温めてくれることでしょう。

まねき食品のおすすめ

幕の内味づくし

元祖幕の内駅弁の進化系。兵庫県産の食材を使ったおかずがぎっしり詰まった人気の駅弁です。

世界文化遺産 姫路城弁当 穴子重

姫路城の平成大修理が完成した記念に、今年より発売。味付けごはんのベースには、えきそばの出汁が使われています。

DATA:

まねき食品株式会社

兵庫県姫路市北条北川原953

TEL 079-224-0255

URL http://www.maneki-co.com

(2015年1月 現在)

 

まねき食品 からのメッセージ

元祖幕の内駅弁(復刻品)は30名以上からの団体様のみ予約注文を承っています。当時に思いを馳せながら、旅の記念にぜひ一度味わってください。えきそばはカップ麺や持ち帰り用生麺の販売も行っていますので、ご家庭で楽しんだりお土産にもおすすめです。

【取材レポート】
今使われているえきそばの鉢はプラスチック製ですが、昔は陶器でした。かつては鉢込みの値段でえきそばが販売されていたため、持ち帰りは自由。ホームで買ってそのまま電車に乗り、車内で食べる人もいて、足元には食べ終わったえきそばの鉢が転がっていたそうです(今は持ち込みができません)。その陶器の鉢。実は、まねき食品の社員さんがたびたび夜行列車で島根県出雲市まで調達に行っていたのだとか。担げるだけ担いで持って帰ってはストックしていたという苦労話も。えきそばはこんな努力があって、今に受け継がれた味なのです。

 

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