チョコヴィック・ジャパン
140年の歴史を持つスペインのチョコレートメーカー「チョコヴィック」。 1872年、スペインのヴィックという町で「チョコラタ・アルミ」という家族経営の会社からスタートし、現在スペインの業務用チョコレートでは65%のシェアを誇っています。
日本における総代理店チョコヴィック・ジャパンの大畑社長にお話を伺いました。
カカオの木に生っているカカオポット(カカオの実)
シングルビーンズのチョコレートとは、単一品種のカカオ豆で作られたチョコレートのことです。一般のチョコレートのほとんどは数種類のカカオ豆をブレンドしています。ブレンドのチョコレートは、メーカー独自の味を作りやすく、また、その味や品質を安定して供給できるため多くのお菓子メーカーでは、ブレンドのチョコレートを販売しています。
それに引き換えシングルビーンズチョコレートは、同じ原材料であっても収穫時期や気候によって味が大きく左右されます。そのため安定した味や品質での供給は大変困難です。
『世界一予約が取れないレストラン』として有名だったスペインの『エル・ブジ』。その料理長フェラン・アドリアの、「その年独自の味わいを楽しむワインのように、シングルビーンズチョコレートの豊かな味わいを楽しめばいい。」この言葉をきっかけに世界にシングルビーンズチョコレートが広まっていきました。
日本でも約5年ほど前からシングルビーンズチョコレートが注目され始めました。
カカオ豆のブレンドやその他の原料との配合の違いで様々なチョコレートが作られています。
チョコヴィックは世界で始めて、厳選されたカカオ豆のシングルビーンズチョコレートの量産化に成功したメーカーです。
大畑社長はそれに注目し、チョコヴィック・ジャパンをはじめられました。
「当時、日本の洋菓子店でもあまり認知されていなかったシングルビーンズの特徴を理解してもらうため、大変苦労しました。サンプルのチョコレートと実際に納品したチョコレートの味が違うということで(収穫年が異っていたため)、多量に返品されたこともありました。」
チョコレートの成分表示欄に「準チョコレート」と書かれているものがあります。これは成分の違いによって「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」で記述を変えるよう定められているからです。その基準の中でもっとも分かりやすい違いはカカオが含まれる量で、チョコレートは35%以上、準チョコレートは15%以上となっています。
返品された多量の商品を持って困り果てているとき、その商品を買っていただいたある洋菓子店のシェフの方に、「チョコレートも農産物だということを、お客様に伝えていくのもお菓子屋の使命なのかもしれませんね。」と励まされたそうです。その言葉に大畑社長も、「自分達こそもっと多くの方に本当のチョコレートの味を伝えなければならない。」と決意され、それからは、取引先が主催されるセミナーや、お店の一角などにスペースを借りて、チョコレートの食べ比べやお菓子作りなどの講習会を始められました。
そこではチョコレートの味の違いや、様々な研究の成果などを紹介されています。例えば、「カロリーが同じならばチョコレートだからといって太りやすいということはない!」という実験結果も発表されたりしています。
カカオの実(カカオポッド)
この実の中にカカオ豆が入っています。
カカオ豆
カカオポットから取り出し、醗酵させた後乾燥させます。このカカオ豆の良し悪しでチョコレートの良し悪しが決まります。
カカオニブ
カカオ豆をローストして、砕いたもの。クッキーに入れたり、飾りとして使われる。熱を加えて磨り潰してペースト状にしたものを「カカオマス」といいます。
リファイナー
カカオニブを磨り潰す機械。
ローラーを何度も通すことで細かく磨り潰され、ペースト状になります。
ペースト状になったものを「カカオマス」といいます。
DATA:
店舗情報 株式会社チョコヴィック・ジャパン
兵庫県芦屋市大桝町2-12 クオリア三正2F
TEL 0797-34-6199
※チョコヴィック・ジャパンでは、小売販売は行っておりません。 チョコヴィックのチョコレートは、お菓子・パン材料の店「PROFOODS」にてご購入いただけます。
(2013年01月現在)
チョコレートの原料のことを知っていただければ、チョコレートをチョイスするときにきっと役立つことと思います。
チョコレートには、カカオ・ポリフェノールが多く含まれています。ポリフェノールは動脈硬化を防ぐなどの効能があります。また、カカオ成分には虫歯をふせぐ効果があることが分かりました。チョコレートに関する知識を少しだけ増やしていただき、美味しいチョコレートをもっと楽しんでいただきたいと思います。
【取材レポート】
チョコヴィック・ジャパンでは、チョコレートだけでなく、スペイン産のナッツやドライフルーツも輸入されています。
シュガーコーティングされたアーモンドとヘーゼルナッツを試食させていただきました。厚めにコーティングされた砂糖とナッツはとても相性がよく、カリッとした食感と程よい甘み、ナッツの香ばしさがやみつきになりそうでした。
ドライイチジクは、小ぶりですが甘みが強く、しっかりとした味でした。シュトーレンや肉料理などに使われるそうです。原料のイチジクは、ひとつひとつ人の手で収穫されているそうです。