フロイン堂
パン好きの間で、一度は食べてみたいと名前が上がるほどの名店「フロイン堂」。地元の常連さんだけでなく、全国からその味を求めるお客さんが後を絶ちません。「今日もぼつぼつ終わりやね」。二代目の善之さんは夕方、空っぽになったパン棚を見て、安堵の笑顔をのぞかせました。
煤の付いた姿に歴史を感じるドイツ窯。空襲と震災にも耐えた頑丈な造りが自慢です。
古い道具に囲まれた作業場。パン型は特殊な黒鉄で作られ熱の伝導が良く、窯との相性もぴったり。
翌日の材料になる小麦粉。この中に副材料を加えると70kgほどに。14時に焼きあがるパンも夕方にはすっかり空っぽになってしまいます。
フロイン堂のおすすめ
食パン
全国に多くのファンを持つ店の看板商品。一度食べると忘れられない深い味わいが特徴。一晩寝かせて翌朝食べるのがベスト。
ビスケット
パンと同様ドイツ窯で焼き上げています。懐かしくやさしい甘さが人気。他にパルミアやバターケーキなどのお菓子もあります。
DATA:
フロイン堂
兵庫県神戸市東灘区岡本1-11-23
TEL 078-411-6686
営業時間 9:00~19:00
定休日 日、祝
(2015年4月 現在)
【取材レポート】
先代が亡くなってすぐに店を引き継いだ善之さん。それまではサラリーマンをしていました。パン屋の道に入る背中を押してくれたのは、先代を看取ったお医者さん。「うちのパンのファンでいてくださったんでしょう。なんで君は親父さんの焼いているパンを焼かんのやときつく言われました。君は好きな仕事をやっていてそれでいいのかもしれんけど、親父さんのパンはどうなるんやと。この言葉で踏ん切りがついて、継ごうと思いました」。最初のころは常連さんたちに「味が違う」と叱られたことも多かったそうですが、だからこそ勉強ができたと感謝を言葉にします。お客さんたちの熱い思いに支えられて今があるフロイン堂。胸を打つ印象深いエピソードでした。