うおくに商店
調理に手間がかかるという先入観からか、若者を中心に進む乾物離れ。一方で、先人たちから受け継いできた乾物ほど優秀な食べ物はないと気づき、その魅力を伝えていきたいと専門店を持った若い夫婦がいます。通りを行き交う人々が思わず足を止める、新しいスタイルの乾物屋とは。
スタイリッシュな店内では、乾物や調味料を雑貨のようにディスプレイ。手に取りゆっくりと買い物を楽しめます。
見澤さんは注文が立て込むと夜な夜な石臼で山椒を挽きます。香りは風に乗り、外の通りにまで漂うほどの強さ。挽き立ての山椒は空気を含み、フワッとしてやさしい舌触りが印象的。香りがきわ立ち、後を引くおいしさです。
乾物は和歌山県産のものを中心に、全国から選りすぐったこだわりの品々をラインアップ。一部はネット販売も行っています。
うおくに商店のおすすめ
石臼挽き山椒粉
口にしたときのインパクトが強い山椒粉。フランス料理やチョコレートの材料としても使われています。
天然加太わかめ
取れたてを洗ってそのまま干したもの。湯通ししていないので高い栄養価も維持しています。水で戻すと新芽のやわらかさも味わえます。
大羽いりこ
1匹10㎝ほどはある香川県のひうち灘産のいりこ。内臓とエラを取り除くと上質な出汁が取れます。おつまみやおやつとしてそのまま食べても美味。
にしきのり
やや水分を含みしっとりとしている焼く前の干しのり。食べる前にさっと炙ると香ばしい香りが食欲をそそります。青のりが少し混ざっていているのも独特。
DATA:
うおくに商店
兵庫県神戸市中央区 中山手通4丁目10-30
TEL 078-855-8564
営業時間 11:00~19:00
定休日 水曜
URL http://kanbutsu-uokuni.jp/
(2016年5月 現在)
【取材レポート】
見澤さんいわく、乾物も生鮮食品と同じで旬の時期に取れたその年の新物は味が違うそう。たとえば青のり。いつもは彩りに添えられる程度の脇役も、国産の旬のものは香りが格段に高く味も絶品。このような“本物”を知らない人が多いと言います。見澤さんは生産者が丹精込めて作った良いものをできるだけ良い状態でお客さんに届けたいと商品管理を徹底。同店では冷蔵、冷凍、クーラー、常温とそれぞれの乾物にベストな温度帯に分けて保存しています。こうした心配りがじわじわと乾物ファンを増やしているのかもしれません。