亀井堂総本店
今年、開港150年を迎えた神戸港。港の歴史とかかわりの深いお菓子はさまざまありますが、和洋が融合した瓦せんべいは神戸の洋菓子文化のルーツです。誕生のヒントとなったのは、海外から大量に輸入されるようになった砂糖・小麦粉と、当時は高級品だった卵。それらを贅沢に使い焼き上げた1枚は、庶民の憧れとなりました。
炭火で1枚ずつ手焼きしていた昭和20年代の製造風景。すすが出ないように作業前に炭を洗っていたそう。昔からある鉄型は今も現役。ずっしりと重く高温になる道具を操るのは重労働。職人たちの苦労がしのばれます。
焼印は1枚ずつ職人の手で。その日の湿度や気温を読みながら独自の製法で生まれる味には繊細さもあります。水分が程よく抜けて形が整った瓦せんべいは、調湿性に優れたブリキの箱で一旦保管されます。
やわらか焼きの型は焼き上がりの表面にツヤを出すため、真鍮製であることが必須。店頭では手焼き風景が見学できるスペースを完備。タイミングが良ければ職人たちの技が見られるかも。
亀井堂総本店のおすすめ
瓦せんべい
長く愛され続ける看板商品。小瓦(7㎝角)から特大瓦(27㎝角)まで4つの大きさがあり、神戸土産の定番です。
瓦まんじゅう
瓦せんべいの材料をベースに焼き上げたカステラ生地の中には極上の小豆あんがぎっしり。上品な甘さで食べ応えがあります。
やわらか焼き
1枚ずつ丁寧にふんわりと焼いたお菓子。風味や食感はカステラとせんべいのいいとこどり。
クリームハッピー&クリームパピロン
さっくり軽い食感のロール状生地にクリームを詰め込んだ欧風菓子。バニラ、チョコ、ストロベリーなどバリエーションも豊か。
DATA:
亀井堂総本店
兵庫県神戸市中央区元町通六丁目3番17号
TEL 078-351-0001
営業時間 9:00~19:00
定休日なし
ホームページ http://www.kameido.co.jp/
(2017年2月 現在)
【取材レポート】
昔はすべての工程を手作業で行っていた瓦せんべい。サイズが大きくなればなるほど均一に火を通して焼き上げるのが難しくなり、職人たちは腕を競い合っていました。そのなかでいつしか小瓦から特大瓦まで4つのサイズが生まれ、当時を懐かしむかのように今も販売されています。ちなみに特大瓦は本物の屋根瓦の実物大。贅沢にかじりついて1枚を独り占めしてみたいものです。