しぜんバル パプリカ食堂ヴィーガン

日本の精進料理に共通するところも多いヴィーガンやマクロビオティックの料理。最近は専用食材を置くスーパーも現れ、昔より身近でおいしいものになりました。その一方で、「見た目が地味」「味気ない」などのネガティブなイメージをぬぐえない人もいるのでは。菜食に興味がない人にも喜んで味わってもらえるものをと工夫を凝らす一軒を訪ねました。

マクロビ料理などは茶色い食材が多く、盛り付けも地味になりがち。こちらでは赤や緑を取り入れてカラフルな一皿に。スイーツメニューも充実しており、白砂糖や乳製品を使わないパフェはあっさりとした甘さが人気です。

菜食はおいしくて楽しい!

健康上や宗教上の理由などで動物性の食品を摂取しない完全菜食主義者。欧米に比べると日本では専門のレストランがまだまだ少なく、外食を楽しむ場所は限られています。自らもそんな窮屈な毎日にずいぶん悩まされたというのは、パプリカ食堂ヴィーガンのオーナーである中井純一さん。

「体を壊したことがきっかけで食の大切さを知りました。食べ物に興味が沸いていろいろと調べていくうちに、菜食がおいしくて楽しいものだとわかり実践するように。もともと飲食店を経営していたので、店のメニューの半分を菜食に切り替えたところ、同じように興味持つ人が増えて専門のレストランを始めました」。

菜食は自分の体質に合っていたと笑顔の中井さん。今では調子を取り戻し、元気に働けるようになったそうです。

ワインやビール、ジュースなどのドリンクもできるかぎりオーガニックで。イタリア料理店を経営していた中井さん、スパゲッティやピッツァも食材に配慮しながら本格的な味。

だまされる人もいるもどき料理

「たべて、のんで、きれいになる」をコンセプトにした料理は、ヴィーガン、マクロビオティック、ローフードの考え方に基づいて作られています。有機野菜や無農薬野菜をたっぷりと取り入れ、もちろん肉や魚、卵、チーズやバターなどの乳製品、白砂糖、農薬、化学調味料、遺伝子組み換え食品などは一切使用していません。オーガニック食材にこだわると、どうしても料理が味気なく、物足りないものになりがちですが、それでは食べる楽しみは半減。マイナスイメージを払拭するよう調理に工夫を凝らし、味や見た目を本物に近づける努力をしています。

「肉の代用には大豆ミート。噛んだときの弾力や見た目はまるで肉そのものです。うなぎのかば焼きは山芋と豆腐、海苔を使っています。カキフライはマイタケやシイタケで食感を出し、青のりで磯の香を演出します。食べても“もどき料理”だとわからず、だまされたまま帰られるお客様もいらっしゃいますよ」。

お客さんの要望で始めたというお弁当。ランチだけでなく夜もオーダーに応えてくれるというからうれしい! ナチュラルな雰囲気でくつろげる店内は、ゆったりとした食事の時間が楽しめます。

仕込みにかかる手間こそ味

食に気を配る人たちに食べる楽しみを与えている同店。中井さんにとってはお客さんの喜ぶ顔が何よりの励みになっていますが、裏ではちょっぴり大変なことも。

1日に必要な成人の野菜摂取量は350gと言われていますが、家庭でさまざまな種類のものを食べるとなると準備するのも大変。こうしたお店を上手に利用すると、日ごろの野菜不足を補いながら上質なタンパク質も取れ、体が喜ぶこと間違いなしです。

「もどき料理はとにかく仕込みに手間がかかります。作り置きができないので、毎日一から作らないといけません。さらにうちではマヨネーズ、ソース、タレ、ドレッシングも手作り。相当時間を取られてしまいますが、こればかりは手を抜けないので」。

店ごとのオリジナルの技を駆使して作っていくもどき料理は、料理人の実力やアイデアが勝負。大変さも受け入れ、野菜だけでどれだけ本物に近い味や食感が出せるかを楽しんでやっていると中井さんは言います。

「普段は菜食ではないけれど、挑戦してみたいと来られる人もいます。興味を持って足を運んでもらえるだけでもうれしいこと。もっと皆さんの口に合う料理が作れたらいいなと思っています」。

しぜんバル パプリカ食堂ヴィーガンのおすすめ

トマトとクロレラジェノベーゼソースのピッツァ

チーズもどきは、もちと豆乳を使って。本物のチーズを乗せたピッツァよりも低カロリーでヘルシー。

ヴィーガンハンバーグ

国産大豆ミンチと野菜で作るハンバーグは弾力のある食感で食べ応え十分。自家製ソースで満足感をアップ。

精進カキフライ

食感も味も本物そっくり!? きのこと豆腐で作ってあるとは気づかない人もいるほどの人気メニュー。

日替わりランチ

メインのおかずが毎日変わるワンプレートスタイル。大阪らしくお好み焼きが登場することも。旬の野菜がたっぷり。

DATA:

しぜんバル パプリカ食堂ヴィーガン

大阪府大阪市西区新町1-9-9アリビオ新町1F

TEL 06-6599-9788

営業時間 11:30~14:00(L.O)、17:30~22:00(L.O)

不定休

パプリカ食堂ヴィーガン からのメッセージ

完全菜食料理で女子会やパーティーもできます。野菜をネタにしたすしコースもスタンバイ。ヘルシーでおなか一杯食べても罪悪感は軽めです。毎週月曜日はちょっとリーズナブルなコースプランもありますよ。年末年始の集まりにぜひ。

【取材レポート】

こちらのお店以外に、大阪で100%植物性の材料で作る完全菜食バーガーのお店も営んでいる中井さん。パテに大豆ミートを使い、野菜をたっぷりサンド。ボリューム満点のハンバーガーは、大手ハンバーガーショップのものが食べられない完全菜食主義の人にとっては夢のような一品です。最近は米粉の自家製バンズを作るのに試行錯誤の日々だとか。完成を待ち望んでいる人のために、がんばってください!