カヌレ堂(CANELÉ du JAPON)

ほうじ茶、抹茶あんこ、黒糖くるみ。バターやラム酒を使ったフランス伝統の生地に和の素材をコラボさせた日本ならではのカヌレ。工夫を凝らした味が人気を集めている小さな専門店が大阪にあります。

コロンとかわいい形のカヌレ型。フランスでは熱伝導が良くカリッと仕上がる銅製のものがよく使われています。

休日は行列必至のカヌレ専門店

カリッ、もちっ、しっとり。きめの細やかな生地の食感と香ばしさが大人っぽいお菓子・カヌレ。カヌレとはフランス・ボルドー地方で昔からある伝統菓子であり、カヌレ型という溝の付いた専用の焼き型を使って焼き上げます。大阪にある「カヌレ堂(CANELÉ du JAPON)」は全国的にも珍しいカヌレだけを販売する専門店。甘いもの好きの間では広く知られ、遠方からわざわざ訪れる人も多い人気店です。元倉庫だった場所を改装したレトロな店舗は、お客さんが3、4人ほど入ればもういっぱい。休日ともなればお行儀よく自分の番を待つ人たちで店の前には長い行列ができます。評判を聞きつけわざわざ遠方から訪れる人や男性の姿もちらほら。がんばった自分へのごほうびや大事な人へのお土産にと買い求める人が多いのだそうです。

シンプルなボックスに詰め込まれたカヌレは宝石のよう。全種類が一通り入る8個入りが一番人気です。店舗の奥にある製造場から、手作りのカヌレが次々に届けられます。作り続けても追いつかず、夕方には売り切れてしまうこともあるそう。

ひと口サイズにこだわりがぎっしり

ショーケースにちょこんと並んだカヌレは全部で8種類。つやっと輝く一つ一つに繊細なデコレーションが施してあり、食べるのがもったいないほどのかわいらしさです。「いろんな味を楽しみたい人が多いのでひと口サイズにし、本場より甘さを抑えて2個3個と食べられるようにしました」と話すのは店長の柴崎和子さん。取材中も店舗の奥にある製造場からは、丁寧な手作業で作られたできたてが次々と運ばれてきます。フランスの伝統のレシピを忠実に再現した「しろ」以外は、生地やトッピングにあんや抹茶といった和の素材を織り交ぜているのがカヌレ堂流。日本人にも親しみやすいお菓子として新たな味わいを発信しています。穏やかな味わいで子どもから年配の方まで安心して口にでき、素材それぞれの高い風味が感じられるのも魅力です。

堂島にも店があり、それぞれの店舗でしか食べられない味もあります。季節のカヌレは両店共通。春は桜の味、いちごやベリー系の季節の味が登場するとか。オリジナルのドリップコーヒーはカヌレとのティータイムを想像し、大阪・玉造のHIROFUMI FUJITA COFFEEで作ってもらったもの。

季節の味で日本の四季を感じて

定番の味に加え、リピーターのお楽しみは毎月1日にお目見えする季節のカヌレ。月替わりの2種類の味がひと月限定で楽しめます。取材に訪れた2月はバレンタインを意識しチョコレートを使った「ホワイトチョコとラムレーズン」「ショコラ五ノ実」が登場。ひときわ彩り鮮やかで目を引きます。新しい味を考えるときはスタッフみんなのアイデアを総動員。試作にも時間をかけるといいます。「実はカヌレはとてもデリケートなお菓子。配合によって膨らみ方が変わるため、新しい素材にチャレンジするときは砂糖の割合を減らしたり微調整が欠かせないんですよ」。 愛情と手間を惜しまず作ったカヌレを「宝石のようにキラキラしていて食べるのがもったいない」と言ってもらえたり、「初めて食べて感動した」という声が寄せられるとうれしいと笑顔の柴崎さん。「カヌレを知らないという人もまだまだたくさんいるので、このおいしさをもっと多くの人に届けていきたいですね」。

カヌレ堂(CANELÉ du JAPON)のご紹介

しろ

フランス・ボルドーの伝統の味を再現。ラムとバニラの芳醇な香りが口の中でふわりと香ります。

黒糖くるみ

黒糖ならではの深いコクのある生地にくるみがぎっしり。香ばしい風味と食感が後を引きます。

抹茶あんこ

抹茶を加えた生地にしっとりとなめらかなこしあんを忍ばせた、まるで和菓子のようなカヌレ。

DATA:

カヌレ堂(CANELÉ du JAPON)

大阪府大阪市浪速区桜川1-6-24

TEL 070-6920-8880

営業時間 10:00~19:00(売り切れ次第終了)

水曜日休み

http://canele.jp/

カヌレ堂(CANELÉ du JAPON) からのメッセージ

日本の和の味、季節のものをフランスの小さなお菓子に閉じ込めました。カヌレを通して日本の四季を感じていただけたら幸いです。1つからでも購入できますので、お気軽にお求めください。取り置きも承っております。

【取材レポート】

取材中、客足が途絶えることがなかったカヌレ堂。お客さんたちは「かわいい!」「どれにしよう」とはしゃぎながら、小さなカヌレを選んでいました。堂島店のほうはオフィス街という場所柄、サラリーマンやOLの人に好まれるよう少し洋のテイストを強めた味を展開しています。残念ながら全国発送はしていませんが、大阪を訪れた際には味比べに2店舗をはしごしてみるのもいいかもしれませんね。