精米所カフェ 藤原米穀店

「精米所カフェ 藤原米穀店」はその名の通り、お米屋さんが営む小さなカフェ。店主の藤原睦子さんは、午前中はお米の配達に忙しく走り回り、ひと息つく正午ごろにカフェをオープンさせます。

住宅街の中にひっそりとある「精米所カフェ 藤原米穀店」。藤原さんが作った米粒のステンドグラスを目印に訪れて(画像上)。自慢の梅干しは漬けた年代別に分けて。ビンの中でじっくり熟成されて味に深みが増していきます(画像下)。

精米したてのお米とこだわり具材

温かみのある木製のカウンターにちょこんと並ぶのは、藤原さんのお手製おむすび。梅干し、鮭、たらこなどの定番の味からベーコン&チェダーチーズやスパムといった洋風なものまで、具はその日の気分次第。

「梅干しは自家製。紀州紅南高梅を仕入れて、毎年漬けています。1粒から購入もでき、夏場の塩分が欲しい時期はトッピングで追加する人もいますよ」。

素材はお米に合う安心して口にできるものにこだわり、作れるものはできる限り手づくりするのが信条。今年は黒豆と麹を使ってみそ作りにも初挑戦し、自家製みその焼きおむすびがメニューに加わりました。炙ることでうま味が引き出され、おいしいと評判です。

店内では、精米したてのお米を購入することもできます。おむすびに使用している魚沼産コシヒカリもラインアップ(画像上)。おむすびの購入やカフェメニューのオーダーはカウンターで。藤原さんが笑顔で迎えてくれます(画像下)。

多くの人にお米のおいしさを伝えたい

藤原さんがカフェを始めたのは、日本人としての原点の味を一人でも多くの人にわかってもらいたいという思いから。

「お米は本来甘くておいしいものなのに、外食で食べる味はどれもイマイチ。子どもたちにも本物の味に触れてもらえればうれしいです」。

お米を知り尽くした藤原さんがおむすび用として選んでいるのは、新潟県魚沼産のコシヒカリ。冷めても甘く粒がしっかりしているところが最適だと言います。さまざまな炊き方を試し、一番安定した味を出せるようにと導き出したのは、圧力鍋を使いガス火で一気に炊き上げる方法でした。

「どうやったらおいしいと言ってもらえるかは常に考えています。お母さんに買ってもらった味が忘れられないとまた訪ねてくれる子どもがいたり、この店の味は全部おいしいと言ってくださる常連さんがいることが、私のやりがいにつながっています」。

カウンターに並ぶのは常時7種類ほどのおむすび。オープン間もない時間だと、種類も豊富にそろっています(画像上)。時間があればぜひイートインスペースでおむすびとコーヒーの異色のコラボを楽しんで(画像下)。

コーヒーがお米の味を引き立てる

おむすびと並んで看板に掲げるのはコーヒー。愛知県から取り寄せるスペシャルティー豆を使っています。「コーヒーに合うおむすびもありますよ」と勧められたのは、ベーコン&チェダーチーズ。イートインでは表面をさっとバーナーで炙り、ちょっぴり焦げ目をつけてサーブしています。お供は香り高いアメリカーノ。とろりと糸を引くチーズとベーコンの燻製香、黒コショウのスパイシーさがアツアツのコーヒーとマッチし、意外なハーモニーを奏でます。

カフェを開業する前に学校に通い、コーヒーの魅力に目覚めたという藤原さん。もっと気軽にコーヒーを飲んでもらいたいと、1杯200円からというサービス価格で提供しています。また、バターナッツかぼちゃなど、旬の野菜をアレンジしたスープやあおさの味噌汁、ときどきメニューに加わる丹波大納言のあんをたっぷり乗せたおはぎも人気。

これから一層寒さが厳しさを増す京都の冬。心のこもった温かなおむすびとコーヒーに癒されてみませんか。

精米所カフェ 藤原米穀店のおすすめ

ベーコン&チェダーチーズ

よつ葉乳業のチーズとブロックベーコンを使った洋風おむすび。持ち帰った際はトースターで温めるのがおすすめ

国産の大きな切り身がどんと乗ったちょっぴり贅沢な一品。じっくり丁寧に手焼きし、食べ応えも十分です

紀州紅南高梅 梅干し

この日は2018年に漬けた梅干しを乗せて。しっかりと塩味と酸味が効いた肉厚の梅干しが米の甘みを際立たせます

DATA:

精米所カフェ 藤原米穀店

京都府京都市中京区壬生森町60

TEL 075-811-2332

営業時間 12:00〜18:00ごろ(売り切れ次第終了)

定休日 日曜、祝日

精米所カフェ 藤原米穀店からのメッセージ

お米をおいしく食べてもらいたいと思い、家庭でお母さんが作ってくれるような味を目指し、毎日心を込めて作っています。鮭やたらこは丁寧に焼くなど具材にもこだわりはいっぱい。ぜひご賞味ください。売り切れ次第終了となりますので、ご来店はお早めに。

【取材レポート】
年に数回は早起きをして伊勢神宮へ足を運び、お参りを欠かさないという藤原さん。参拝の帰りには必ず伊勢志摩産の海苔やちりめんじゃこなどおむすびの具材になるものを仕入れてくるそう。シンプルだからこそ素材に妥協は許されないという思いが、小さな丸型にぎゅっと詰め込まれていました。