離乳食はいつ始めればよいでしょうか?
生後5カ月までの赤ちゃんは、母乳やミルクから栄養と水分を得ていますが、 成長するにつれて食事からの栄養摂取を行っていかなければなりません。 食事からの栄養摂取を行うために、体を少しずつ慣らす食事が「離乳食」です。
離乳食を始めるタイミングは、子どもの成長により多少のズレが出てきます。また離乳食を始めた後の進み具合により、進める内容も変えていきます。慣れていない食べ物をいきなりたくさん摂取すると、お腹を壊す原因になるので、ゆっくり少しずつ体を食べ物に慣らしていくのがよいでしょう。 まずは1日1食、消化吸収のよいお粥をスプーン1さじからスタートしてみましょう。
離乳食の目的は、体に食べ物を慣らしていくだけではなく、食材を飲み込んだり、舌で潰したり、歯茎で噛む練習をしたりと、食事に必要な体の動きも身につけていく目的があります。 1日1食の離乳食をしばらく続けられたら、2食、3食と回数を増やしていきます。 最終的には大人と同じ1日3食の食事ができるようになることが目標です。
最初から大人と同じような固形物が食べられるわけではありません。なので4つの段階に分けてステップアップしていきます。 生後5~6カ月の初期、7~8カ月の中期、9~11カ月の後期、1歳~1歳6カ月の完了期の4つの段階です。離乳食の初期はドロドロのペースト状のものを噛まずに飲み込み、あとは消化だけでよいようなイメージ。段階が進むにつれて少しずつ食材の大きさが大きくなり、最終的にはみじん切りや子どもの口に入るようなサイズになっていきます。歯が生えそろっていない子どもでも食べられることが重要です。完了期には、食べられる食材も増え、大人と一緒の食事を楽しむことができます!
離乳食で避ける食材はありますか?
大人には美味しく栄養のある食べ物でも、赤ちゃんにとっては刺激の強い食べ物がたくさんあります。離乳食で避けたい食材を一覧の食材を避けて、赤ちゃんにとって嬉しい離乳食を始めてみましょう。
◎離乳食時に避けたい食材一覧
はちみつ | 乳児ボツリヌス菌予防のため、満1歳までは避けてください。ボツリヌス菌は通常の調理で完全に死滅させるのは困難です。1歳未満の赤ちゃんに強い甘みは必要ありませんが、酸味を和らげるためなど、あえて甘い味を加えたいときは、白砂糖にしましょう。 |
刺身 | 細菌によって食中毒になる恐れがあります。食べさせるなら新鮮なものを選んで、できれば3歳頃からにしましょう。 |
そば、ピーナッツ、パイナップル、マンゴー | そば、ピーナッツにはアレルゲンとなる物質が含まれているので、与える時は少量から慎重に。パイナップル、マンゴーなどにも口元にかゆみが出るような物質が含まれていますので、与えるのを避けるか、加熱してからにしましょう。 |
もち、いか、たこ、かまぼこ、ちくわ、魚肉ソーセージ、ナッツ類、こんにゃく | のどに詰まる恐れがあるため、離乳期は食べさせないようにしましょう。 |
ソース、カレー粉、こしょう、ウーロン茶、緑茶、炭酸水、にんにく、しょうが | にんにくと生姜は、9~11カ月頃から食べられますが、使う場合は風味付けにごく少量程度を使いましょう。刺激のある調味料は、12~18カ月頃から同様に気をつけて使ってください。カフェインが含まれる飲み物は、欲しがるようなら薄めてあげてみてもよいでしょう。 |
果汁100%ジュース、菓子パン、生クリーム、干物、ベーコン、かまぼこ、ちくわ、魚肉ソーセージ、魚卵、マヨネーズ、ケチャップ | 糖分や塩分が多いものは、赤ちゃんの消化吸収の負担になるほか、味覚への影響も心配されます。量を控えるのがよいですが、どうしても欲しがるようなら、干物やベーコンは小さくカットしてお湯をかけ、塩分を抜くなどの工夫をしてから使いましょう。調味料としてマヨネーズ、ケチャップを使う場合は、9~11カ月頃から少量ずつ。そのままつけるなら1歳半からにしましょう。 |
玄米、雑穀、ごぼう、きのこ類 | 栄養豊富ですが、消化しにくいため、1歳半以降に食べ始めましょう。きのこ類を使う場合は、すりつぶしたり細かく刻みましょう。 |
離乳食初期(5〜6ヶ月)
この時期のポイント
① 1日1回、今までの授乳時間に離乳食を行いましょう。
② 母乳・ミルク以外の食べ物を、ゴックンする練習をします。
③ 始めて1カ月たったら、離乳食を1日2回に。
献立の考え方の基本
① 10倍がゆからスタートをして、少しずつ食材と量を増やします。
② 10倍がゆに慣れたら、ビタミン・ミネラル源(野菜や果物)、タンパク質源(豆腐や白身魚など)をプラス。
③ 食べさせる量・食材の種類を、少しずつ増やしていきましょう。
1週目 | 炭水化物源:すりつぶした10倍がゆを小さじ1からスタート。小さじ2~3までの量に徐々に増やします。 |
2週目 | 炭水化物源:すりつぶした10倍がゆの量をさらに増やします。小さじ2~4位が目安です。 ビタミン・ミネラル源:野菜や果物のすりつぶしを小さじ1プラス。にんじんやかぼちゃなどが、食べやすくておすすめです。 |
3週目 | 炭水化物源:そうめん、パンなど、10倍がゆ以外の炭水化物源にトライしていきましょう。量も増やしていきましょう。 ビタミン・ミネラル源:野菜や果物のすりつぶしの量も増やしていきます。様子を見ながら新しい食材も取り入れます。 タンパク質源:タンパク質源にもチャレンジ。豆腐や白身魚など、消化のいいものをすりつぶして食べてみましょう。 |
1回分の食べる量の目安
※離乳食を始めて1カ月たってからの目安量です。
炭水化物源
お粥:25〜30g
茹でうどん:15〜25g
食パン:8枚切り(耳なし)
約1/8枚
+
タンパク質源
豆腐(絹ごし):25g
魚:5〜10g
卵黄:〜5g
+
ビタミン・ミネラル源
野菜・果物:15〜20g
離乳食初期で食べられる食材
米・米粉・パン・そうめん・うどん・じゃがいも・さつまいも・ほうれん草・白菜・人参・かぶ・かぼちゃ・キャベツ・小松菜・ブロッコリー・カリフラワー・トマト・玉ねぎ・大根・チンゲン菜・とうもろこし・冬瓜・モロヘイヤ・レタス・茄子・水菜・ベビーリーフ・きゅうり・グリンピース・いんげん・出汁(昆布・かつお節)・白身魚(鯛・たら・かれい)・しらす干し・黄身・きな粉・豆腐・りんご・バナナ・いちご・桃・みかん・オレンジ・すいか・梨・ぶどう・さくらんぼ・すいか・メロン・甘夏・はっさく・麦茶・ほうじ茶・番茶
離乳食中期(7〜8ヶ月)
この時期のポイント
① 回数は引き続き1日2回。少しずつ主食・主菜・副菜の栄養バランスを意識し始めましょう。
② 舌で少し粒感を感じるものをつぶして食べる練習をしましょう。
③ 初めての食材も少しずつ取り入れながら、メニューの幅を広げていきましょう。
献立の考え方の基本
① 1回や1日の献立で、バランスを完璧にしなくてOKです!
② 食べむらがある子も多いので「1回」や「1日」単位で栄養バランスを完璧にしようと頑張り過ぎる必要はありません。 「1週間」単位を目安に栄養バランスが整っていれば大丈夫です。
③ 3つの栄養素のバランスを考え始めましょう。
離乳食初期は「食べ物になれる練習」でしたが、離乳食中期からは少しずつ「食べ物から栄養を摂る」ことを意識しましょう。 1回の離乳食に主食・主菜・副菜が用意できるとよいでしょう。
1回分の食べる量の目安
※1回分の目安量は、栄養素ごとに1種類だけで与える場合の目安量。
同じ栄養素のグループから2種類与える場合は1種類の量を半分に、3種類食べさせる場合は1/3にします。
炭水化物源(主食)
お粥:50〜80g
茹でうどん:45g
食パン:8枚切り(耳なし)
約1/2枚
+
タンパク質源(主菜)
豆腐(絹ごし):30〜40g
納豆(ひきわり):15g
白身魚:10〜15g
鶏ささみ:10〜15g
卵:卵黄10g〜全卵15g
+
ビタミン・ミネラル源(副菜)
野菜・果物:20〜30g
離乳食中期で食べられる食材
コーンフレーク・スパゲティ・マカロニ なす・ピーマン・パプリカ・もやし・里芋・長ネギ・葉ねぎ・ニラ・ミックスベジタブル・アスパラガス・アボカド・枝豆・鶏ひき肉・鶏ささみ肉・鶏むね肉・鶏もも肉・レバー 鮭・まぐろ・かつお・めかじき・ツナ・青のり・削り節・わかめ・ひじき・焼きのり・柿・大豆・納豆・高野豆腐・麩・卵(全卵)・牛乳(調理)・ヨーグルト・粉チーズ・プレーンヨーグルト・砂糖・しょうゆ・塩・みそ
離乳食後期(9〜11ヶ月)
この時期のポイント
① 3回食に進みます。家族みんなで楽しく食事をしましょう!
② 手づかみ食べを通じて自分で食べる練習を始めましょう。
③ バナナくらいがちょうどよい固さの目安です!
献立の考え方の基本
① 朝・昼・晩と3回の離乳食になり、食事のペースができてくる後期は、食事を歯ぐきでつぶすことが上手になります。
② 1回の食事につき、少し食感の異なる食材をメニューの中に組み込んで、少しずつ進めてあげてください。
③ 赤ちゃんの健康に特に気になることがなく、元気で遊んでいるなら心配はありません。
1回分の食べる量の目安
炭水化物源(主食)
お粥:全粥90〜軟飯80g
茹でうどん:1/3玉
食パン:8枚切り(耳なし)
約1枚
+
タンパク質源(主菜)
豆腐(絹ごし):45g
白身魚:15g
鶏ささみ:15g
卵:全卵1/2個
+
ビタミン・ミネラル源(副菜)
野菜・果物:30〜40g
離乳食後期で食べられる食材
きのこ類・ごま・にんにく・しょうが・あじ・いわし・さんま・さば・豚・牛赤身肉・豚・牛ひき肉・キウイフルーツ・ドライフルーツ・寒天・春雨・ホットケーキミックス・マヨネーズ・ケチャップ
離乳食完了期(12〜18ヶ月)
この時期のポイント
① 3回食に進みます。家族みんなで楽しく食事をしましょう!
② 手づかみ食べを通じて自分で食べる練習を始めましょう。
③ 離乳食の固さは「やわらかい肉団子」を目安にします。
1回分の食べる量の目安
炭水化物源(主食)
お粥:軟飯90g〜ご飯80g
茹でうどん:1玉
食パン:8枚切り(耳なし)
約1枚
+
タンパク質源(主菜)
豆腐(絹ごし):50〜55g
白身魚:15〜20g
鶏ささみ:15〜20g
卵:全卵1/2〜2/3個
+
ビタミン・ミネラル源(副菜)
野菜・果物:40〜50g
離乳食後期で食べられる食材
ウーロン茶・緑茶・果汁100%ジュース・炭酸水・えび・かに・ハム・ウインナー・切り干し大根・干ししいたけ・そば・中華めん・油揚げ・料理酒・ソース・カレー粉・こしょう
手づかみ食べ
手づかみ食べとは?
手づかみ食べとは「食べ物を目で確かめ」「手でつかみ」「口まで運び入れる」という、目・手・口を使った協調運動のことです。 赤ちゃんの摂食機能の発達上、非常に重要なステップとなる動作になります。 まずは摂食機能の発達過程において、手づかみ食べの上達は、後の食器を使った食事のための前段階の動作につながっていきます。 また手づかみ食べの一連の動作は、赤ちゃんの五感をフルに刺激するため、脳の発達にもとても大切な役割を持つと言われています。
手づかみ食べをする目的
① 目で食べ物の位置や大きさ、形などを確かめること。
② 手でつかむことによって、食べ物の触感や温度、適切な握り方を確かめること。
③ 食べ物を口まで運ぶことによって、目・手・口の協調運動を行うこと。
手づかみ食べをはじめるまでの3つのサイン
① 乳歯が生えはじめる
生後6~9カ月頃に下の前歯2本が生え始め、1歳ころには上の前歯2本が生えそろいます。 自分で食べる力を養うために歯の成長は欠かせません。
② お座りが安定する
手づかみ食べをするためには、食事用の椅子などに一定時間座っていられるようになる必要があります。
③ 舌の使い方とあごの力が発達する
生後7~8カ月頃の離乳食中期には、徐々に舌の使い方が上手になり、食材を舌と上のあごで押しつぶして食べることができるようになります。 離乳食後期になるとさらに舌とあごの使い方が上手になり、「食べごろのバナナ」程度の固さの食材を食べられるようになります。 この固さの食材が食べられるようになることが、赤ちゃんが手づかみ食べをはじめる段階に達したことを示す1つの目安となります。