カシス

カシスとは

「カシス」はフランス語名で、英語では「ブラックカラント」、日本では「黒すぐり」と呼ばれています。ヨーロッパからアジア全域の寒冷地やニュージーランドに育つスグリ科の落葉低木で、いわゆるベリー類の一種です。小さな食用の果実は濃紫色で、酸味が強いのが特徴です。栄養素が豊富にバランスよく含まれ、ベリーの王様とも呼ばれています。

「カシス」には眼精疲労や仮性近視、トリ目や緑内障の予防・抑制、冷え性の改善、筋肉疲労の回復促進などの効果が実証されています。さらに果実に豊富に含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニンの非常に強い抗酸化作用によって、老化やストレスなどに伴い過剰に発生した活性酸素を体内から除去・抑制する働き、インフルエンザや動脈硬化の予防・改善なども大いに期待できます。気候変動などの影響による不作で市場の混乱などもありましたが、強い抗酸化作用と健康効果による需要増加もあり、市場規模は好調に拡大していくと予想されます。

「カシス」の豊富な栄養素と抗ウイルス効果

「カシス」には、日本では厚生労働省により色素として登録されていますが、ヨーロッパでは血管障害、眼精疲労に対する医薬品として認められている「アントシアニン」をはじめ、ビタミンA、オレンジの約3倍のビタミンC、若返りのビタミンとも呼ばれているビタミンEも含まれています。

 「カシス」の「アントシアニン」は、抗酸化力に優れているデルフィニジン配糖体(「D3R(デルフィニジン-3-ルチノシド)」、「D3G(デルフィニジン-3-グルコシド)」)と、シアニジン配糖体(「C3R(シアニジン-3-ルチノシド)」、「C3G(シアニジン-3-グルコシド)」)の主に4種類で、とくに「D3R」と「C3R」は、ブルベリーなど他のベリー類には含まれていない「カシス」特有の「アントシアニン」です。

カシス

「カシス」に含まれるビタミンAやビタミンB2などには、のどや鼻の粘膜の働きを高め、ウイルスの浸入を防ぐ効果があります。ビタミンCやビタミンB6、亜鉛などは、免疫機能を担う白血球の活性維持と増強、上皮や粘膜を構成するコラーゲンの生合成に関与します。近年の研究でインフルエンザウイルスを不活性化させるデータが得られるなど、「カシス」に含まれる豊富な栄養素の働きで、ウイルスに対する予防効果も大いに期待できます。

カシス

 「カシス」特有の「D3R」「C3R」は、目の健康維持、視力回復能力、眼精疲労に効果的です。また、目の筋肉の緊張を緩和することで、目の下のクマの改善にも働きかけます。さらに、視神経の働きを支えているロドプシン(色素体)にも関与し、疲れ目の改善や視力の向上も期待できます。

「コリ」状態にある毛様体筋に働きかけ、弛緩させることによって、ピントフリーズ状態を改善。
末梢血管の血流を活発にし、筋肉の緊張状態を緩和、パソコン使用などの眼精疲労も軽減。

ニュージーランド産「カシス」の栄養価と高い抗酸化力

ビタミン・ミネラル 含有量比較

カシス カシス

紫外線が強いニュージーランド産の「カシス」は、世界中のベリー類の中でも最高の栄養価を誇り、とくに健康維持に欠かせないビタミンCと、目に優しい「アントシアニン」は、一般的な果物の中でNo.1の含有量と言われています。

カシス カシス

「カシス」には、老化や生活習慣病を引き起こす原因の一つである活性酸素の生成を抑制して「サビない身体」をサポートする力があります。また、抹消の血流改善作用があり、血液サラサラ作用、冷え性、肩こり、腰痛などの改善効果なども期待できます。

「カシス」アントシアニンの効果と機能性

緑内障[※]の進行抑制効果 (Ophthalmologica. 2012;228(1):26-35. 2012)

開放隅角緑内障患者38名を対象とした「カシス」エキスの摂取(カシスアントシアニン50mg相当/日、摂取期間:2年間)試験で、眼圧に 直接影響は与えませんでしたが、緑内障による視野欠損を抑制し、目の周りの血流量も改善しました。

※:緑内障とは、様々な原因により眼圧が上昇し、視神経を圧迫してその働きを衰えさせる病気です。症状が進むと、視野の一部が欠け※:たり、視力の低下、最悪の場合失明にいたります。眼圧を低下させることは、緑内障の進行抑制に最も有効な手段といわれています。

免疫物質IgA[※]の増加効果 (Hurst R D, et al. Front Nutr. 2020;7:16.)

健常成人36名を対象としたニュージーランド産「カシス」エキスの摂取(カシスアントシアニン3.2mg/体重1kg、摂取期間:5週間)試験で、運動による酸化ストレス後も、唾液中IgA分泌量の増加が確認され、粘膜免疫の維持が期待できます。

※:IgAとは、病原体などの異物を防ぐ抗体の一種です。粘膜免疫の中心的防御因子として血液や体液中に含まれています。

運動による疲労の改善効果 (Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2009 Jul;297(1):R70-81.)

30分間の運動負荷の開始時と終了時にニュージーランド産「カシス」エキスの摂取(カシスアントシアニン120mg/回)試験で、「筋肉疲労の軽減」「筋肉損傷の軽減」「筋肉の損傷の回復」「運動後の感染症予防」等の効果が確認されました。

夜間視力調節機能・ピント調整機能の維持改善効果 (Altern Med Rev. 2000 Dec;5(6):553-62.)

健常成人21名を対象とした「カシス」エキスの摂取(カシスアントシアニン50mg相当/日)試験で、暗闇に目が慣れる「暗順応」の調節が認められました。また、長時間のパソコン作業によるピント調節機能の低下も緩和されました。

目の周りのクマ改善効果 (skinresearch. 2005 4.5:492-497.)

健常成人女性33名を対象とした「カシス」アントシアニンの摂取試験で、摂取15分後から血流量の増加がみられ、肌の明るさや赤みを評価するエリスマインデックスが上昇し、くすみを評価するメラニンインデックスが減少しました。

認知機能(注意・集中力)の向上効果 (Japanese Journal of Health Research: Vol. 42 (2021) pp. 37-48)

健常成人女性7名を対象とした「カシス」エキスの摂取(カシスアントシアニン50mg相当/日、摂取期間:8日間)試験で、認知機能の客観的評価において有効性が認められたと同時に、主観的評価においてVAS[※]の「頭の覚醒(集中度)」上昇、POMS[※]の「緊張〜不安」減少など自覚において有意差が得られました。

※:VAS(Visual Analog Scale)とは、主観的評価での疲労などの体調面を問う視覚的評価スケールのこと
※:POMS(Profile of Mood States)とは、主観的評価での感情などの精神面を問う気分プロフィール検査のこと

即効性と持続性 (J. Agric. Food Chem. 2001, 49, 3, 1546–1551)

「カシス」アントシアニンは、経口摂取後15分程度で血中に移行し、1.25〜1.75時間後に血中濃度が最大となることが確認されました。摂取後の体中でのめぐりが確認され、8時間経過後も血液中に残っているため、即効性だけでなく持続性も期待できます。

カシス

「カシス」アントシアニンは、摂取後体内に速やかに吸収され、血流が改善されはじめます。それにともない肌の色みが改善されます。