そば米雑炊(徳島県)

日本の郷土料理「そば米雑炊(徳島県)」|食育大事典

「そば米雑炊(そば米汁)」は、徳島のそば文化から生まれた郷土料理です。一般的に蕎麦を作る際、そばの実を粉にしてそばを作りますが、そば米は、そばの実をそのまま塩ゆでして殻をむき、乾燥させて作ります。そのそば米を、野菜や肉と共ににだしで煮込み、雑炊に仕上げていきます。そばには、たんぱく質やミネラル、食物繊維も多く含まれており、単体で栄養価値がとても高い食材です。そこに野菜や肉をたっぷり加えて作る雑炊はさらに栄養バランスのとれた一品に! だから今もなお徳島県民に親しまれ続けている郷土料理なのでしょう。

そば米雑炊の歴史

昔、徳島の祖谷(いや)地方は山々に囲まれ、米が育ちにくい気候とされており、米の代わりに栽培期間が米より短く米の代わりとなるそばの実を育てていました。その祖谷地方に源平合戦で負けた平家が逃げ延びた際、都を偲んで正月料理にそば米雑炊を作ったのが始まりと言われています。

そば米雑炊の豆知識

・世界のそばの実事情?
そばの実を挽かずに料理に使っているのは、ロシア料理のカーシャと、そば米雑炊だけだと言われています。

薬剤師の食育コメント

そばの実は、白米に比べてタンパク質と脂質が倍近くあるので、うまみとコクのある味わいがあります。また、そばの実は、穀物の中で唯一、ビタミンPの一種であるルチンを含んでいます。ルチンは毛細血管の老化を防ぎ、血液の流れをスムーズにして、心臓病や動脈硬化を防ぎます。ただし、ルチンは水に溶け出すので、できれば丸ごと食べたいもの。そばの実を炊くときは水にさらしたりせずに炊くのがベスト、麺のソバならソバ湯ごと、汁物は煮汁もいただきましょう。
その他、リジンやスレオニンなどの必須アミノ酸もいっぱい。食物繊維やビタミンE、B1、パントテン酸、マグネシウムも豊富です。

食育大事典の郷土料理

そば米雑炊の作り方

食育大事典の郷土料理

郷土料理材料材料|2人分

  • そば米・・・60g
  • 鶏むね肉・・・1/3枚
  • 大根・・・1/4本
  • にんじん・・・1/3本
  • 干し椎茸・・・3枚
  • 干し椎茸のもどし汁・・・50cc
  • だし汁・・・400cc
  • 酒・・・大さじ1
  • しょうゆ・・・大さじ1/2
  • みりん・・・大さじ1/2
  • 塩・・・適量
  • 三つ葉・・・適量

郷土料理調理ステップ調理ステップ

  1. 鶏むね肉はひと口大のそぎ切り、大根は5mm厚のいちょう切り、にんじんは5mm厚の半月切り、干し椎茸は水で戻し、千切りにします。
  2. 干し椎茸の戻し汁は取っておきます。
  3. そば米を水洗いして、水を入れ20分程茹でる。やわらかくなったらざるにあげて水洗いし、水気を切ります。
  4. だし汁と干し椎茸の戻し汁を合わせて、大根、にんじん、干し椎茸を煮る。にんじん、大根がやわらかくなったら、そば米と鶏むね肉を加えて、ひと煮立ちさせます。(あくを取りながら)
  5. 鶏むね肉に火が入ったら、酒・しょうゆ・みりん・塩で味を調え、仕上げに三つ葉をあしらって完成です。