出雲そば(島根県)
岩手県の「わんこそば」、長野県の「戸隠そば」と並び、日本三大そばの一つとして掲げられる島根県出雲地方に伝わる「出雲そば」。出雲そばは、玄そば(外の殻のついたそばの実)をそのまま挽き込む「挽きぐるみ」と呼ばれる製粉方法で作られ、一般的なそばと比べて黒っぽく、そして栄養価と香りが高く、風味と食感が良くなります。またつなぎに使われる小麦粉は2割程度と、少ないのも特徴の一つです。
出雲そばの歴史
寒暖差の大きな島根県では、平安時代頃から痩せた地質でも栽培ができる蕎麦の実の栽培が盛んに行われてきました。しかし蕎麦の実の食べ方は、そばがきかそばおやき位。そんな中、江戸時代初期頃、信州松本城の主であった松平直政が、江戸幕府の命令「引越し(転封)」により島根県へと移り住む事になります。その際、信州の蕎麦職人を一緒に連れて来たことで、松江城下を中心に蕎麦切(包丁で細長く切られたもの)という食べ方が広まっていったそうです。現在、2月11日はそばを出雲地域に広めた松平直政の転封を言い渡された日として「出雲そばの日」に制定されています。
出雲そばの豆知識
そば粉は、そばの実を石臼やローラーで挽いて製粉していきます。挽き始めにできるのが「一番粉」で、胚芽の中心部分にあるデンプン質を多く含む香り控えめな白い粉です。そのまま挽き続けると「二番粉」という、胚乳の一部と胚芽に甘皮(外皮)が含まれ栄養価の高い粉になります。タンパク質も含み、そば特有の香りも強くなります。さらに挽き続けると「三番粉」が製粉されます。暗い青緑色をしており、胚乳の一部と胚芽に甘皮(外皮)が含まれ、栄養価が高く、香りもより強い粉になります。
出雲そばは、この一番粉、二番粉、三番粉を取り分けない全層粉「挽きぐるみ」を採用することで、色が濃く、風味が強い、とても味わい深いそばに仕上がります。そして風味や食感が良くなるだけではなく、栄養価も香りも高くなります。
薬剤師の食育コメント
そばに含まれるルチンは血管の弾力を保ち、血流をスムーズにしてくれる血管強化作用の働きがあり、また強い抗酸化作用があるので老化の原因である活性化酸素(細胞の酸化を防ぐ)を取り除いてくれる役割があります。特に動脈硬化や脳卒中などの血管が固くなることで引き起こす病気に効果的だと言われています。そして脳細胞の酸化を防ぐ効果があるので、認知症の予防にも期待できます。
出雲そば(釜揚げそば)の作り方
材料|2人前
- 出雲そば・・・・300g
- 麺つゆ(3倍濃縮)・・・・50cc
- 大根おろし・・・・60g
- 長ねぎ・・・・適量
- 刻みのり・・・・適量
- かつお節・・・・4g
【出汁】
【薬味】
調理ステップ
- 大根をすりおろし、長ねぎを小口切りにします。
- 沸騰した多めのお湯に出雲そばを入れ茹でる。(混ぜながら茹でましょう。)
- 茹で上がったら、そのまま丼に盛り付け、茹で汁(そば湯)も注ぎます。
- 入れた茹で汁の1/3の量の麺つゆを入れます。(濃縮の量によって量は調整してください。)
- 全部の薬味を乗せたら完成です。
※ 温かなものが食べたい場合は、事前に麺つゆも程よく温めておきましょう。
※ そば湯を割り汁にする事で栄養も摂取できます。
※ 割子そばの薬味である、うずらの生卵や、天かす、とろろ芋、もみじおろしなどを入れても美味しいです。