大黒
数種類の具材を米と合わせて炊く料理を、関東では五目ごはんや炊き込みごはん、関西ではかやくごはんと呼びます。かやくごはんは関西人の出汁文化が発展させた家庭料理。老舗の腕にかかると見事な味へと昇華します。
昭和が香るたたずまいは通りに1軒だけ。周囲の活気とは反する静かな時が流れています。まずは煮物や焼き魚を注文し、好きな酒で一杯。かやくごはんと味噌汁でシメるというのも粋な食べ方。
格子の向こうが厨房になっている趣のある造り。戦前は道頓堀川に面した場所に店を構えていたそう。
テーブル席が2つのこぢんまりとした店内。相席で肩を寄せ合いながらいただくのも乙なもの
大黒のおすすめ
かやくごはん
蓋付きの椀を開けるとふわりと立ち上る出汁と海苔の香り。上品な味わいに箸が進みます。たっぷりと盛られていて食べ応えも十分
DATA:
大黒
大阪府大阪市中央区道頓堀2-2-7
TEL 06-6211-1101
定休日 日曜、月曜、祝日
営業時間 11:30~15:00、17:00~20:00
【取材レポート】
2017年度のミシュランガイドではビブグルマンに選ばれ、昼時を過ぎても客足は衰えず繁盛ぶりがうかがえた大黒。テーブルを見ると、多くの皆さんがかやくごはんと一緒に舌つづみを打っていたのは味噌汁と焼き魚でした。魚も素材から吟味し、どんなに忙しい時間帯でも注文が通ってから直火で焼くのがこだわり。揺るぎないポリシーが老舗の味を支えています。日によっては早々に売り切れてしまうこともあるそうなので、早い時間帯に訪れることをおすすめします。