御菓子司 本家菊屋
豊臣秀吉の実弟・秀長の居城だった奈良県の郡山城。その城下町に、秀吉と秀長に愛された和菓子店があります。400余年の時を超え、現在も昔の面影を残して暖簾を掲げている「御菓子司 本家菊屋」を訪ねました。
創業当初から変わらず同じ場所にある本店は、嘉永7年(1854年)に起こった大地震で蔵だけを残し倒壊したものの再建。街のシンボルとなっています(画像上)。天井は型抜きに使う木型で埋め尽くされています。これらはディスプレイではなくすべて現役。菓子職人たちが手入れをしながら大事に使っているそうです(画像下)。
季節の彩りを映した上生菓子。繊細な意匠には菓子職人たちの伝統の技と心が息づいています(画像上)。画像下は代々受け継がれている木型を使って。優雅な形と上品な味わいは時を経ても色褪せません。
店頭に置かれた菊花の紋の茶釜。昔は御城之口餅を店内で食べる際に振る舞われていたお茶の湯を沸かしていたとか(画像上)。本店のある大和郡山市が金魚の産地として有名なことから生まれた菓子「金魚すくい」。箱にも遊び心を散りばめています(画像下)。
本家菊屋のおすすめ
御城之口餅
国産の上質な素材を選び、もち米をついて作っています。シンプルで素朴な味の中に老舗のこだわりを体現。
菊之寿
白小豆に福白金時をブレンドした贅沢な黄味あんを洋風生地で包み、専用のオーブンで焼き上げた品。しっとりとした食感でコーヒーにもぴったり。
つみ小菊
奈良県の特産品である吉野本葛に和三盆の穏やかな甘さを合わせた干菓子。すっと溶けていく滑らかな口どけが印象的。
雅なパッケージ
奈良らしく正倉院文様のデザインを施したパッケージは雅やかでモダン。贈り物にも喜ばれること間違いなしです。
DATA:
御菓子司 本家菊屋
奈良県大和郡山市柳1-11(本店)
TEL 0743-52-0035
営業時間 8:00〜19:30
定休日 1月1日
公式HP http://kikuya.co.jp
【取材レポート】
取材終わりに店頭でお茶と御城之口餅をいただきました。口に入れると餅が舌の上でするりと溶け、あんの優しい甘さときな粉の香ばしさがしみじみとおいしいこと。店内を吹き抜ける風の心地良さにも癒されました。昔は街道筋を行き交うたくさんの人々が一服するために立ち寄ったとか。風情ある佇まいに当時の賑わいを重ねつつ、しばしタイムスリップしたかのような気分を味わえました。