氷とお芋の専門店 らんらん

大学芋は昔ながらの家庭的なおやつ。素朴な味もとことん追求すると、特別感のあるスイーツになることを教えてくれるのが「氷とお芋の専門店 らんらん」です。店自慢の「蜜ぽてと」と「飴ぽてと」が多くの人を夢中にしています。

「当店の始まりは、3代目が冬場にみたらし団子と大学芋を店頭で売り始めたのがきっかけ」と店主。今年20年目を迎えます。大学芋やかき氷などが食べられるイートインスペース。奥の厨房から出来立ての大学芋が店頭に運ばれます。

こだわり抜いた2種類の大学芋

下町の風情を残し、活気あふれる阪急本通商店街。その一角に、甘い匂いを漂わせる一軒があります。創業は明治42年。3代目までは氷屋の看板を掲げていましたが、時代の流れでかき氷と芋の専門店に転業。店頭には焼き芋、スイートポテト、干し芋など、さまざまな芋菓子が並んでいます。

なかでも多くの人がこぞって買い求めるのが、4代目がレシピに創意工夫を重ねた大学芋。味は「蜜ぽてと」と「飴ぽてと」の2種類があります。「蜜ぽてと」は特製蜜に漬け込んでしっとりとさせた関東風。「飴ぽてと」はべっこう飴をコーティングし、カリッとした食感に仕上げた関西風です。どちらも同じさつまいもを使いながら、まったく異なる味わいが新鮮。ナチュラルな甘さで年配の人から子どもまで、幅広く人気を集めています。

焼き芋は品種別に数種類をそろえています。かわいいパンダの焼印は同店のキャラクター(画像上)。砂糖を使わず素材の甘さを引き出した干し芋。噛むことで少量でも満腹感が得られるヘルシーなおやつ(画像下)。

商品ごとに品種を選りすぐる

何種類ものさつまいもを食べ比べ、徳島県、宮崎県、茨城県など全国の特産地から商品ごとに適した品種を厳選。大学芋には徳島県産の鳴門金時を選び、その中でもトップブランドと名高い里むすめを使っています。「里むすめは飽きのこない上品な甘さが特長。栗に似たホクホク感と滑らかさのバランスが優れています」と話すのは、店を切り盛りする5代目の店主。

焼き芋に使う品種はシーズンごとに変化。ねっとりした食感がブームの今は、紅はるかやシルクスイートを仕入れています。店頭に並ぶシーズンが短く、出合えればラッキーというのが安納もみじ。味は濃厚ながら、くどくない甘さが芋好きにはたまりません。

芋チップスも季節ごとに品種を変えてスタンバイ。味や食感を食べ比べるのもおすすめです。夏場もさつまいもをおいしく食べてもらえる方法を模索中。「冷やして食べるなどの方法を提案していきたい」と店主。

奇を衒わず伝える昔ながらの味

東京のミシュラン星付きレストランで修業を積んだ店主は、4代目からレシピを受け継ぎ、大学芋の製造を任されています。独特の食感を生むコツは低温調理にあると言います。「さつまいもを生の状態から米油に投入し、さつまいもに甘みが出る70度前後に保ちながら1時間ほどかけてじっくりと火を通します。最後にこんがりと色がつく程度で仕上げるのがベストです」。「飴ぽてと」は砂糖と水を程よく焦がして香ばしさを引き出し、一度食べるとくせになる昔ながらの味を表現。「蜜ぽてと」は粗糖や三温糖など数種類の砂糖をブレンドして、甘さに深みを出しています。長くおいしさが続くように販売時の温度にもこだわります。店主は自分が飽きずに食べられるものでないとお客さんにも自信を持って勧められないと、味の追求に余念がありません。「当店の大学芋は、揚げたてよりも冷めたほうがおいしいです。しっとりとした食感を残しながらも角がカリッとしているのは他店にない魅力。大学芋はこれからも昔ながらの味を大事にしていきたいと思っています」。
夏はかき氷の名店としても注目を集める同店。器の真ん中に芋餡を忍ばせ、紅はるかをベースにした濃厚ソースをたっぷりとかけるオリジナルのかき氷「芋づくし」と大学芋をイートインで楽しんでみては。

NICKJERKYのおすすめ

蜜ぽてと

蜜につけたしっとり食感の大学芋。一度食べるとまた食べたくなるおいしさです。

飴ぽてと

飴を絡めたカリカリ食感の大学芋。蜜ぽてとと同じ芋を使っていても、異なる味わいです。

スイートポテト

たっぷりとさつまいもを使った滑らかな口当たりのスイートポテト。手土産にも人気です。

DATA:

氷とお芋の専門店 らんらん

大阪府茨木市元町1-21

TEL 072-622-3351

営業時間 10:00〜18:00(なくなり次第終了)

水曜休み(臨時営業あり)

http://ranran-oimo.com

らんらん からのメッセージ

4月から人気のかき氷「芋づくし」が登場しています。抹茶や黒蜜、ミルク、みぞれなどの定番の味に加え、いちごなど限定の味は1〜2週間おきにメニューが変わるので、新しい味を食べに来てください。

【取材レポート】

自慢の大学芋を食べ比べさせていただきました。「蜜ぽてと」は外がカリッと香ばしく、中までしっかりと蜜が染み込んで、しっとりねっとりとした食感が独特。「飴ぽてと」はフォークを刺した瞬間からカリカリなのがわかるほど。香ばしい飴がやみつきになります。どちらも大きくカットしてあり、食べ応えは満点。甲乙つけがたいおいしさでした。贅沢に安納芋を使っているときもあるそう。ぜひ一度食べてみたいものです。