Vegan Cafe Thallo

Thalloの料理には可能な限り地元で丹精込めて育てられた野菜とフルーツを取り入れ、米は自然栽培のものを採用。小麦粉、卵、乳製品、白砂糖、肉、魚介は不使用なうえ、電子レンジでの調理も行わないと徹底し、健康志向な人や持病のある人にも喜ばれています。

自慢のキッシュプレート。野菜不足を十分に補える、ヘルシーながら満足度の高いメニューです(画像上)。窓に向かって一人席もあり、おひとり様でも気軽に立ち寄ることができます(画像下)。

乳製品や卵を使わないキッシュが自慢

「Vegan Cafe Thallo」は2017年にオープン。自身も30年ほど前から菜食主義だという建築士・加納まり子さんがオーナーを務めています。神戸はカフェ激戦区。新しい店も次々とオープンしていますが、グルテンフリー・ヴィーガン料理に特化しているところはまだ珍しく、体に優しい味を求めて子ども連れのママやサラリーマンもやってきます。

店で一番の人気メニューはキッシュプレート。小麦粉の代わりに米粉を使った生地に、有機豆腐をベースにしたフィリングを流し込み、きのこや野菜で味わいを深めた自家製キッシュがメインです。米粉特有のサクサクとした歯ざわりにしっとりなめらかな食感が合わさり、卵や生クリームで作るキッシュよりもあっさりとした味わい。食べ応えもあります。プレートに添えられたサラダの色鮮やかなドレッシングは、ビーツと豆乳を合わせた手作り。味噌汁に使う白味噌も店で仕込み、可能な限り添加物を減らして提供しています。

キッシュはトマトの他にほうれん草とカレーがあります。具材がたっぷりで1カットでも満足感は十分(画像上)。食後やティータイムにはホーリーバジルのハーブティーを。ハーブティーが苦手な人にも試してほしい一杯です(画像下)。

体に優しいメニューが目白押し

メニューにはキッシュの他にデリやスープといった単品も並んでいます。もう少し食べたい時はプレートメニューと組み合わせることもでき、お腹の具合に合わせて追加できるのが嬉しいところ。食後やカフェタイムにぴったりのスイーツメニューもあり、豆乳で作ったヴィーガンアイスや見た目もかわいいパフェ、シェイクもおすすめです。テイクアウトもできる玄米おにぎりもヘルシー志向な人にはぜひ注目してほしい一品。同店では発芽酵素玄米を採用。無農薬・無肥料で育てた自然栽培米に黒米を加え、もちもちに炊き上げています。噛むほどに甘みが増し腹持ちもよく、軽食にもちょうどいいサイズです。

食事メニューと同様に、ドリンクメニューにも体を思いやる味が目白押し。中でも他店ではなかなか味わえないのがホーリーバジルのハーブティーです。花穂から抽出した特別な一杯はエネルギーに満ち、穏やかな風味に心が静まります。

もちもちの食感がやみつきになりそうな発芽酵素玄米。噛むことで満腹感も得られます(画像上)。店内では店で使っている野菜を販売。地元で採れたものを中心に、丁寧に栽培されたものが並んでいます(画像下)。

食で悩む人と動物たちのために続けたい

菜食主義ではあったものの、ヴィーガン料理には関心が薄く、知識もなかったという加納さん。一方では動物愛護に関心があり、捨てられている猫を見つけては保護し、里親を探すボランティア活動をしていました。あるとき、神戸の人気店だったヴィーガンカフェ「ザ ピンクウィードカフェ」が惜しまれつつ閉店を迎えることになり、引き継いでくれる人を募集しているという情報を入手。同じころ、自分が思いもしなかった食品に動物性のものが含まれていることを知り、愕然としたそう。加納さんは、ヴィーガンやベジタリアンを応援することも動物を保護する活動につながるのではと思い立ち、一念発起。ザ ピンクウィードカフェと同じ場所にThalloを開店しました。

長年悩んでいたうつ病やアレルギーが治ったというお客さんの体験談を聞くたび、食が心身に及ぼす影響力の大きさを実感する毎日だと加納さんは言います。「動物や困っている人たちのためになるなら、という思いで始めたカフェですが、私が考えている以上に意味のある店。これからも残していかないといけないと思っています」と力強く語ってくれました。

Vegan Cafe Thalloのおすすめ

キッシュプレート

この日のキッシュはトマト。さっぱりとした酸味に食が進みます。副菜のキャロットラペはクミンシードの香りが豊かで、サラダもボリューム満点。

ホーリーバジルのハーブティー

聖なるハーブティーとも呼ばれるホーリーバジル。癖を感じさせない優しい香りと味に癒やされます。

DATA:

Vegan Cafe Thallo

兵庫県神戸市中央区北長狭通4-7-12オーシャンズコート101

TEL 078-599-9652

営業時間 11:30〜22:00(L.O 21:00)

不定休

Vegan Cafe Thallo からのメッセージ

大人はもちろん子ども達にも小さいころから体を思いやる手作り料理に親しんでもらいたいと思っています。食事中は子ども達が退屈しないように、店内におもちゃをスタンバイ。ママやパパはたまの息抜きに、家族一緒にぜひ利用してください。

【取材レポート】

長く猫保護のボランティアを続け、何十匹もの捨てられた猫に手を差し伸べてきたという加納さん。けれども今は活動を休止しています。「だんだんと里親が見つからなくなり、もらわれない猫が増えてきました。そのうち自分もキャパオーバーになり、仕事もできなくなってしまって…」。猫を拾ったのに幸せにできないことを悔やみ、良かれと思って続けてきたことに限界を感じてやめたと苦しい胸の内を明かしてくれました。優しい心を持つ加納さんの優しい活動はThalloを通して形を変え、これからも続いていきます。