鱈(たら)
歴史は古く、江戸時代から食されていました。下処理の際、口から内臓を取り出すので包丁で腹を切らないことから、武家にとっては縁起の良い魚でした。世界の歴史では、1972年頃にアイルランドとイギリスでの漁業紛争「タラ戦争」が生じました。
日本でよく漁れる鱈には、タラ目タラ科に属するスケトウダラ、マダラ、コマイという種類がありますが、タラと呼ばれるものは「マダラ」を指すことが多く、旬である冬に産卵のため水深の浅い東北、北海道の海に集まります。食欲旺盛の魚で、食べる量がとても多く、体重も大きなものですと20kgほどにもなりますが、高タンパクで低カロリーのあっさりした美味しい白身魚です。
漢字で「鱈」と書くのは、鱈の身が雪のように白いことや、雪の降る冬に捕獲されるなどが由来になったと言われています。また、「たら」という読み方は鱈の特徴的な模様である「まだら」模様から「たら」となったという説があります。
鱈は身の水分量が他の魚と比べて多いため鮮度が落ちるのが早く、お刺身で食べる場合は産地でも限られるとのことです。鍋やムニエルでも十分美味しいのですが、透き通るような白いプリプリの身を一度は味わってみたいものですね。
鱈の栄養成分
・タンパク質
アミノ酸で構成されているタンパク質は、皮膚から筋肉、内臓、DNAまで、からだ全身を作ったり、酵素として代謝に関わったりエネルギー源であったり、いろいろなはたらきがあります。鱈には必須アミノ酸含め豊富にアミノ酸が含まれています。
・ビタミンB12
葉酸とともにはたらき、赤血球の生成による貧血予防や、細胞内のDNAの合成に使われます。また、神経の機能を正常に保ちます。
・ビタミンA / ビタミンD
肝油ドロップは鱈の肝臓も生産に関わっています。外出の機会が減ると日光を受ける機会が減るためビタミンDが不足がちです。ビタミンAとともに免疫力アップ効果が期待できます。
鱈の選び方・保存方法
丸々と大きく成長しているもので、真鱈の特徴である斑模様がはっきり見えるものをお選びください。表皮に張りがあり、目の透明度があるものが新鮮な証です。白く透き通った身が特徴ですが、時間が経過したものはドリップが出て透明度が落ちた白色〜薄黄色へ変わってしまいます。
鱈は水分が多いためすぐに下処理が必要です。身にまんべんなく塩を振り、出てくる水分をしっかり拭き取った後にキッチンペーパーでくるんでラップを巻いてから冷蔵庫か冷凍庫に保存しましょう。解凍の際は冷蔵庫での自然解凍をオススメします。
タラの柚子風味
材料|4人分(塩分量1.1g)
- タラ(切り身)・・・・4切れ
- 木綿豆腐…120g
- カブ・・・・1個
- ユズ(くし型切り)・・・・1/4個
- ショウガ絞り汁・・・・小さじ1/2
- 出し汁・・・・150cc
- 酒・・・・50cc
- 薄口しょう油・・・・小さじ1/2
- 砂糖・・・・小さじ1
- 塩・・・・小さじ1/2
タラの柚子風味|作り方
- タラは塩(小さじ1/4)とショウガ汁を振って少しおく。
- 木綿豆腐は8等分に切る。カブは皮をむき、茎を少し残したまま、4等分に切る。
- ユズの果汁をしぼり、果肉の入った薄皮を取り除き、斜めに5mm幅に切る。
- (3)が柔らかくなったところに三つ葉を加えてさっと火を通し、煮汁を残してボウルに移す。
- 煮汁が温まったら、木綿豆腐、カブ、ユズの果汁と果皮、を加えて紙蓋をして中火で加熱する。
- カブが柔らかく煮あがったら、水気をふき取ったタラを加えて、沸騰させないように静かに加熱する。
- タラに火が通ったら4等分して器に盛りつける。