太刀魚(タチウオ)

銀色に光輝く「太刀魚」。スズキ目サバ亜目タチウオ科に属する海水魚です。世界の温帯から熱帯に生息し、日本近海では北海道から沖縄まで広く分布しています。国内での漁獲量は、愛媛県や和歌山県、大分県など、本州中部より以南が多くなります。

大きくて全長1.5m程まで成長する魚形は平たく細長い形状で、体表は銀色に光輝き、まるで太刀(たち)のような姿をしています。そして尾びれも腹びれも鱗もありません。鱗がない代わりに、グアニンという銀の粉の層で体の表面を保護していますが、その成分は、マニュキュアのラメや人工真珠などの原料に使われることもあるそうです。

産卵時期は6〜11月、旬の時期が7〜11月の海水魚ですが、年間を通して水揚げされる魚でもあります。どの季節でも味と質は安定していますが、やはり真夏の旬の時期が、脂がのり旨味が深くなります。

また白身魚の太刀魚は、淡白な味わいのイメージですが、実はタンパク質より脂質が多いという、珍しい魚です。ですが悪玉コレステロールを減らす働きのあるオレイン酸が多く含まれているので、脂っぽさをあまり感じる事なく旨味を堪能できます。ぜひ鮮度が良いものは刺身で、そして塩焼きやムニエル、煮付けなどにして、太刀魚を味わってください。

太刀魚釣りの人気はとても高く、釣り人たちはドラゴン(大型の太刀魚の事)を狙いに行くそうです。夏になると防波堤で、釣り人の姿を見かける光景は、まるで夏の風物詩のようです。

太刀魚の栄養成分


・脂質
オメガ3脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)とイコサペタンエン酸(EPA)が多く含まれます。DHAは中性脂肪値や血中コレステロール値を低下させ、善玉コレステロール値を増やしてくれます。また脳萎縮を防ぐ働きから、記憶力の向上に役立ちます。EPAは、血圧や血中脂質濃度を下げ、細胞膜と血管を守り、心臓病や脳梗塞予防が期待されています。

・タンパク質
体構成成分・体調整機能成分。毎日のエネルギー源として大切な栄養素です。代謝機能を調整し、自己免疫を高める効果があります。また髪や腎臓や筋肉、抗体など体の機能を調整する、日々接種が必要な三大栄養素の一つです。

・ビタミン類
脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・E を多く含みます。ビタミンDは、リンやカルシウムの吸収を助けて、骨粗しょう症を予防する効果が期待されます。またビタミンAとEは、強い抗酸化作用を持ち、血行を促進、血管や細胞膜の老化予防効果があり、アンチエイジングや生活習慣の改善に役に立ちます。

太刀魚の選び方・保存方法


・選び方
表面に輝く銀色のグアニンが美しく残り、身が引き締まった、硬そうなものが良いでしょう。またエラの色が鮮度が良いとされる鮮やかな赤色のものを選びましょう。鮮度が落ちていくと茶色っぽくなっていきます。体長は、1m前後のものが旨味が凝縮して美味しくいただけるでしょう。

・保存方法
鮮度が大切な魚ですが、生の切り身なら1〜2日、冷凍なら2〜3週間保存が可能です。切り身にしてから水気をしっかり拭き取り、一切れずつラップで包み、ジップ付き保存袋に入れて保存しましょう。いただく際は、加熱調理をしてください。

太刀魚の塩包み焼き
(塩釜の中にはしっとりジューシーな香草焼き)


太刀魚の塩包み焼き

材料|4人分(塩分量1g)

  • 太刀魚・・・・4切れ
  • あら塩・・・・200g
  • 卵白・・・・2個分
  • ミョウガ・・・・1/2個
  • 大葉・・・・4枚
  • パラフィン紙・・・・適宜

太刀魚の塩包み焼き|作り方

  1. 太刀魚の背びれを落とし、2枚におろす。
  2. 太刀魚の塩包み焼き
  3. ミョウガと大葉をみじん切りにし、太刀魚のお腹に挟み、パラフィン紙で包む。
  4. あら塩に卵白を混ぜたものを、天板の上で(2)にたっぷりまぶし、上からもかまくらのように盛り、崩れないようにしっかり押さえる。
  5. 200℃のオーブンで10~15分、塩の表面に焼き色がつくまで焼く。
  6. 塩釜を割って、パラフィン紙をはがして召し上がってください 。
  7. *塩釜は一人分ずつでも、パーティー用にまとめて大きく作っても良いでしょう。

    *塩分が気になる方も、パラフィン紙からきれいに塩を取り除けば、振り塩程きつくはありません。