広島焼(広島県)

日本の郷土料理「広島焼(広島県)」|食育大事典

広島焼(広島県)

広島焼は、クレープ生地のような小麦粉生地の上にキャベツやもやし、豚バラ、焼きそばなどを重ねて焼く広島風のお好み焼き。甘口で濃厚なお好みソースをかけるのが特徴です。広島の中でも地域によりオリジナルの焼き方があり、豚バラではなくミンチ肉が使われるカリカリの焼き上がりが特徴の「府中焼き」、麺の代わりにお米が入りポン酢でいただく「庄原焼き」、豚肉ではなく鶏モツが使われる「三原焼き」、生地に日本酒や酒粕を入れて焼く「竹原焼き」など、様々な食べ方でいただくことができます。広島県には多くのお好み焼き店が営まれており、人口10万人あたりのお好み焼きの店舗数は、広島県が全国で一位を誇る程に、広島のソウルフードと言われています。

広島焼の歴史

茶人である千利休が茶会で用意をした茶菓子「麩の焼き」は、水溶き小麦粉を薄く広げて焼き、味噌や砂糖などを包んだ和風クレープのようなもの。それが一般にも広がり、茶菓子からたこ焼きの原型である「ちょぼ焼き」、さらには「もんじゃ焼き」とアレンジされていきます。そして子どもたちのおやつとして水溶き小麦粉を薄く焼いた上にカツオの粉とネギなどの簡単な具材を乗せ、半分に折りソースをかけた「一銭洋食(洋食焼き)」が生まれます。

戦後の広島は焼け野原となりましたが、人々は生きる為に、そして広島の復興の為に働き始めます。ですが食料不足・米不足は続きます。GHQからの配給物が始まり、その中でも小麦粉が多く配られた事で、子どものおやつであった一銭洋食から、大人も満足できるようにと、ボリュームの出るキャベツや豚肉を入れて栄養価を高めるアレンジがされました。さらに腹持ちを良くする為に麺も加えるようになります。そうした時代の移り変わりにより、今の広島焼がカタチになり愛され続けているのです。

広島焼の豆知識

  • 広島のお好み焼き屋の名前に「◯◯ちゃん」という女性の名前が多い理由は、戦地から帰ってきた家族が自分の居場所を見つけやすいようにという理由や、戦争で家族を亡くした女性が生計を立てる為にお店を開いたという理由からだと言われています。
  • 上で紹介した他にも、他地域の食べ方として、砂肝とイカ天が入った「尾道焼き」、生地に酒粕や日本酒が練りこまれた「純米吟醸たけはら焼き」、唐辛子を練り込んだ麺を使う「三次唐麺焼」、卵・納豆・山芋入りの「ふわふわ納豆焼」、うどんが入った「いんおこ」など食べ方も様々!
  • 関西風と広島風のお好み焼きは、調理法、麺の有無、ソースに違いがあります。多くの方が思い浮かべる「お好み焼き」は、関西風であり、ドロッとした固めの生地に大きくカットしたキャベツとお好みの具材を絡ませ、鉄板で焼きます。一方、広島焼きは具材と生地を混ぜません。サラッとした水分多めの生地をクレープ状に焼いてから、その上に千切りキャベツ、もやし、豚肉焼きそば、そして卵を重ね焼きするのが特徴です。また関西風お好み焼きには、辛口ソースやマヨネーズ・青のり・鰹節をかけます。広島焼きは、基本甘口のソースのみで、元々はマヨネーズはかけませんでした。ですが現在は広島焼きにもよくマヨネーズが使われるようになりました。

    薬剤師の食育コメント

    広島焼は具材により1枚で様々な栄養素を摂取できます。キャベツにはビタミンCや食物繊維などが豊富に含まれています。ビタミンCは、お肌を健康に保つコラーゲンとの合成を促し免疫力を高める働き、そして食物繊維には、食後の血糖値の上昇を抑え、コレステロールを身体の中から排泄してくれる役割があります。

    食育大事典の郷土料理

    広島焼の作り方

    広島焼の作り方

    郷土料理材料材料|1人前

      【生地】

    • 小麦粉・・・大さじ2
    • 水・・・大さじ3
    • かつお粉・・・小さじ1/2
    • 【具材】

    • キャベツ・・・150g程度(2〜3枚程度)
    • ネギ・・・7g(1〜2本程度)
    • 卵・・・1個
    • 天かす・・・大さじ2
    • もやし・・・50g
    • 豚バラ・・・3枚
    • 中華麺・・・1玉
    • 【焼きそば用】

    • 塩・コショウ・・・各少々
    • 中濃ソース・・・大さじ1.5
    • 【仕上げ】

    • お好み焼きソース・・・大さじ2(お好みで)
    • 青のり、鰹節、マヨネーズ・・・お好み

    郷土料理調理ステップ調理ステップ

    1. 千切りにしたキャベツと、もやしを電子レンジで600wで3〜4分程、野菜が少し透明になる位に温めておきます。
    2. フライパンで中華麺を塩・コショウをして炒めます。火が通ったら中濃ソースを混ぜ合わせ、お皿によけておきます。
    3. 小麦粉と水を良く混ぜ合わせ、油を入れ温めたフライパンに流し込み、薄く広げ、かつおの粉を振りかけます。焼けたら別のお皿に取り出します。
    4. フライパンに豚バラを焼き、焼けたら別のお皿に取り出します。
    5. 豚バラを炒めたフライパンにそのまま弱〜中火程度の火加減で、卵を割り入れ、黄身を潰し広げます。
    6. 卵の表面が半熟になったら、その上に中華麺、豚バラ、もやし、天かす、ネギ、キャベツの順に乗せていき、最後に焼いておいた生地をかつおの粉の方を下にして乗せ、少し蒸し焼きにします。
    7. フライパンより大きいお皿を被せて、フライパンをひっくり返します。
    8. その上に、ソースをたっぷり塗り、お好みでマヨネーズ、青のり、鰹節をかけてできあがりです。

    ※ テフロン加工のフライパンでない時は、卵をフライパンから一度剥がして置くとお皿に取り出しやすいです。
    ※ チーズやコーン、お餅も具材に追加しても美味しいです。