なめろう(千葉県)
粘りが出るまで包丁でたたいた青魚に薬味と味噌を合わせて食べる、酒のアテにもピッタリな「なめろう」。太平洋に面した千葉県房総半島沿岸部周辺に古くから伝わる郷土料理です。味付けに醤油ではなく、味噌を使うのが特徴。漁師が獲れたての鮮魚を波で揺れる船上で調理する時に、こぼれる醤油ではなく味噌を使ったというのが理由だそう。主に鯵が使われますが、秋刀魚、鰹、イカなど、その時の新鮮な魚介で作る鮮度が大事な料理です。
なめろうの歴史
千葉県房総半島沿岸部周辺の漁師が船上で作る漁師飯がなめろうの始まりだと言われています。漁船の上は波で揺れが大きくスペースが少ない為、簡単な料理しか作る事ができません。その理由から、釣った魚をたたいて調味料を合わせるだけのなめろうは船上で重宝される料理なのです。また手軽に作られるだけでなく、獲れたての魚の味をそのまま楽しめるのも魅力。獲れたての魚介を包丁でたたき味噌だけで味付けをしたこの料理は、その後、家庭料理や居酒屋で愛されるメニューになる上で、薬味を加えて、美味しく進化していったそうです。
なめろうの豆知識
- 名前の由来は、「皿を舐めるほど旨い」という言葉から、という説や、魚の粘りが皿にこびりつき「舐めないと食べられない」という言葉から付けられたという説があります。
- なめろうを形を整えて焼くと千葉県の郷土料理「さんが焼き」になります。漁師が山に仕事へ行く際、鮑の貝殻に入れたなめろうを、山小屋で焼いたり、蒸したりして食べた事から、その名がついたと言います。生の魚はいたみやすいので火を通した料理が生まれたのですね!
薬剤師の食育コメント
鯵に含まれている栄養素にはタンパク質、DHA、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、セレンです。タンパク質は身体の元になります。DHAは血管壁の細胞膜を柔らかくする作用があり血流をスムーズに。ナイアシンはビタミンB群に属し、栄養素の代謝をスムーズにします。ビタミンB6にはタンパク質の代謝をスムーズに、ビタミンB12は赤血球を作るのに必要な栄養素で貧血を改善、予防します。ビタミンDはカルシウムの調整を行っており神経伝達を正常に。セレンは抗酸化作用があり身体のさびを予防してくれます。
なめろうの作り方
材料|2人前
- 青魚の魚(鯵・鰯など)・・・200g
- 生姜・・・10〜20g
- ねぎ・・・2〜3本
- 青紫蘇・・・2〜3枚(1枚は切らずに飾り用)
- みょうが・・・1個
- 味噌・・・大さじ1半
調理ステップ
- 盛り皿を冷やしておきましょう。(包丁でたたく工程が刺身に熱を帯びさせるので、美味しく食べるために器を冷やすのがポイント)
- ねぎ、生姜、みょうがをみじん切りにします。
- 青紫蘇は軸を切り取ってから、2枚を千切り、1枚は切らずに飾り用にします。
- 刺身を6mm程度のみじん切りにします。
- 2に1と味噌を混ぜ合わせます。(包丁を使い刺身を端からすくい上に乗せ混ぜ合わせるように繰り返します。※薬味を混ぜた後はたたきません)
- 全体に混ざり馴染んだら、再び包丁でたたき、全体的に細かく、しっかりと粘りが出てきたら出来上がりです。
- 塩気が足りない場合は、味噌を加えて調整してください。
- 冷やした器に青紫蘇をひき、その上になめろうと千切りの青紫蘇を盛り付けて完成です。
※ 鯵・飛魚・鰯・鯖・秋刀魚など、旬の青魚で作ると美味しくできます。特に鯵と飛魚がおすすめです!
※ スーパーで売られている刺身から作る場合は、切り身より柵のものを選ぶ方が鮮度が保たれやすいです。