へしこ(福井県)
内蔵を取り出した鰯や鯖などの魚を、重石をして塩漬けにし、さらに米糠に漬け込んで1年以上熟成させた長期保存ができる発酵食品「へしこ」。厳しい冬を越すために、若狭地域や越前海岸沿岸の伝統料理として、江戸時代中頃の古くから貴重なたんぱく源として重宝されてきました。
鰯や鯖以外にも、イカやフグなどでも作られますが、一番脂が乗った秋頃の鯖で多く作られています。また、地域により、麹や醤油、酒、鷹の爪などの調理過程が異なり、地域独自のへしこを楽しむ事ができます。
へしこの歴史
江戸時代の中頃から、福井県沿岸部近郊で、漁に出られない日が多くなる冬場の貴重なタンパク源として、各家庭で作られたのが始まりと言われています。
へしこの豆知識
- 名前の由来は?
漁師たちが獲った魚を樽に漬け込む事を「圧(へ)しこむ」と言い、「へしこまれたもの」が省略されて「へしこ」となった説が一つ。もう一つは、魚を塩漬けにした時に出てくる水分「干潮(ひしお)」がなまり、「へしこ」になったなどの説があります。 - 食べ方は?
正月などのお祝いの席に欠かせないご馳走として愛されてきたへしこ料理と言えば「なれずし」です。現在は、塩味と発酵の旨みが燻製に似ているので、チャーハンやパスタ、ピザなどの味のアクセントとして使われています。
薬剤師の食育コメント
鯖などの青魚には「ペプチド」という成分が含まれており、免疫力アップ、病気の回復促進、糖尿病の症状改善、血圧抑制、血液をサラサラにし、シミ・ソバカス除去などの効果が期待できます。また塩や魚から出る水分が加わることで、米糠が乳酸菌や酵母が増大し、免疫力の強化や整腸作用、血圧抑制、美肌効果などが期待できると言われています。
鯖へしこの作り方
材料|2〜4人前
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【材料】
- 鯖・・・2尾
- 塩・・・大さじ1と1/2
- 麹・・・40g
- 糠・・・200g
- ナンプラー・・・大さじ6
- みりん・・・大さじ2
- 鷹の爪・・・2本
調理ステップ
- 麹と糠、ナンプラー、みりん、塩、鷹の爪をよく混ぜ合わせます。
- 鯖の内蔵を綺麗に取り除きます。
- 鯖に①を全体に擦り込んでからジップロックなどに入れ、上からさらに①を入れます。空気を抜いて、密封します。
- 巻きすで巻いて、紐で縛り、冷蔵庫で1ヶ月程度漬け込み、出来上がりです。
※ 鯖表面の水分をしっかり取っておきましょう。
※ 頭と一緒に漬け込むと、より深い味が出ます。
※ へしこのお茶漬けも最高です!