菜食ごはんRocca(ロッカ)

サラリーマンやOLたちが忙しく行き交う大阪・肥後橋。街を静かに流れる土佐堀川のほとりに、働き盛りの人たちから愛される「菜食ごはんRocca」はあります。肉や揚げ物が中心のがっつりごはんの店が多い界隈で、旬の野菜がたっぷりと食べられるヘルシー派にうれしい一軒です。

Roccaはイタリア語で岩、城壁の意味。榮田さん夫婦が店を始める前にあったイタリアンの店名を受け継いだそう。オープンキッチンには夫婦そろって立ちます。厨房から漂う香りや音もおいしさのエッセンス。

働き盛りを思いやる野菜たっぷりごはん

落ち着いたインテリアでまとめられた店内はカウンター席が中心。パッと食べて仕事に戻れるようにとオフィス街の立地に合わせた造りで、女性1人でも気軽に立ち寄れる雰囲気です。カウンターの向こうは、鍋から立ち上る湯気や香りが伝わるオープンキッチン。店主の榮田健二さん・くるみさん夫妻が息の合った様子で調理を進める姿が垣間見え、味への期待が高まります。

昼・夜どちらもメニューは「日替わり菜食ごはん」の1種類のみ。主菜と副菜は毎日替わり、三分づきのごはんに味噌汁、ぬか漬けが付きます。野菜と米は健二さんの故郷である福井県から届く無農薬栽培のもの。25年ほど前から農業を行っている両親が丹精込めて作った旬の味を見ながら、くるみさんが献立を立てています。時期によって手に入りにくい食材は、可能な限り自然農法で野菜を育てる農家や市場から仕入れることもあるそうです。

味噌汁は野菜を重ねて塩を入れ、1時間以上蒸し煮に。野菜のエキスが染み出たところに、昆布だしを食わせ、滋味深い味噌汁になります。茶碗に大盛りのごはんは、栄養価を損なわず誰もが食べやすい3分づきに。もっちりと腹持ちも抜群。

メリハリの利いた味で飽きない工夫

この日の主菜は「根菜入りさつまいもと黒小豆の蒸し揚げまんじゅう」。ペーストにしたさつまいもに黒小豆など数種類の野菜を加えて揚げ、あんをかけた上品な一品です。副菜は3品。優しい味のひじきの煮物、風味豊かな白菜とかぶ・かぶの菜のみそ炒め、黒豆・紫キャベツ・ブロッコリーの和え物はしょうゆと梅酢の自家製ドレッシングをかけ、さっぱりと箸が進みます。

「毎日来られるお客さんにも飽きずに食べてもらえるよう、酸っぱいもの、甘さのあるもの、味噌を利かせたものなど、1品ずつ味にメリハリをつけるよう心がけています」とくるみさん。出汁は昆布やしいたけなど植物性のものから丁寧に取り、すっきりとした味わいです。調味料も吟味し、甘みに加えるのは自家製甘酒や米麹から作ったみりん。しょうゆや塩も昔ながらの製法で丁寧に作られたものを選び、自家製味噌も取り入れながら食べる人の体を気遣います。

くるみさんの立てる献立は味のバランスが良く、お客さんからは「作り方を教えてほしい」という声もあるそう。以前は夜のメニューなどで登場していたという素敵な器がカウンターに並んでいます。

味だけでなく盛り付けにも気配り

調理師免許を持ち、イタリアンレストランや給食会社など飲食関係の職に就いていたくるみさん。あるとき体を壊し、菜食中心の食生活に切り替えたところ、不調が改善したそう。「食べたものが体を作っている」と実感したことが、店を開くきかっけになりました。妻の決心を支えるため、サラリーマンを辞めた健二さんと二人三脚で店を切り盛りしています。
夫婦共通の趣味とも言えるのが器集め。カウンターの上には作家ものなども並び、特別に誂えた茶碗や皿が料理に華やぎを添えています。

「乳製品、砂糖、卵を使わず、アレルギーがある人にもおいしく食べてもらえるようにと考えながら日々料理をしていますが、お客様には気負いなく普通の飲食店と同じように訪れてもらえるのが一番。うちでごはんを食べた結果、いつもより野菜がたくさん取れて良かったと喜んでもらえたら」とくるみさん。仕事で疲れた体にすっと染み渡る穏やかな味が、夫婦の人柄と重なります。

菜食ごはんRoccaのおすすめ

日替わり菜食ごはん

一品ずつ丁寧に作られたおかずは、野菜がたっぷりで色どり豊か。男性も満足できるほどの食べ応えですが、お腹にはもたれないのが嬉しいところ。

DATA:

菜食ごはんRocca(ロッカ)

大阪府大阪市西区土佐堀1−6−6 1F

TEL 06−6444−5765

営業時間 11:30〜14:45(L.O14:30)18:00〜22:00(L.O21:45)

日・祝・第2土曜休み(※土曜日は昼営業のみ)

https://www.facebook.com/2008vegerocca/

菜食ごはんRocca からのメッセージ

当店は日本の気候風土に合った食事が私たちの体と心に一番馴染むと考えます。「日替わり菜食ごはん」を召し上がっていただくことで、日本の食文化を少しずつ見直すきっかけになれば嬉しいです。

【取材レポート】

料理の写真を撮っていて、ふと目に留まったのが一品一品の器のすてきさ。「ごはん茶碗も特別なもので、白菜の煮物を盛り付けている塗りの器もオーダーしたものです。料理は見た目にも楽しいことが大事だと思っています」とくるみさん。店を訪れた際は、ご夫婦が見初めた器にもぜひ注目してみてください。