あんこう鍋(茨城県)

日本の郷土料理「あんこう鍋(茨城県)」|食育大事典

あんこう鍋は、茨城県の郷土料理です。水温が低い冬から春にかけてがあんこうの旬と言われており、特に産卵前の1〜2月の時期が最も美味。あんこうは、その珍妙な見た目とは裏腹に、品の良い味で「食べられない部分がない」と言われる程、無駄のない魚です。スープの味付けは、さっぱりした味わい(醤油味)でも、どぶ汁(溶けたあん肝スープ)などの濃厚な味わいでも、楽しむことができます。コラーゲンが多く、栄養の豊富な食材としても注目を集めています。

あんこう鍋の歴史

水戸藩から皇室に献上されていた郷土料理です。人見必大著『本朝食鑑』にあんこうについての記述がされており、元禄時代から親しまれていたようです。あんこうを吊るしてさばく調理法も表現(絵入貞徳狂歌集)されており、かつては「安康」と表記されていました。また、美食家として知られている徳川光圀が食したとも言われています。小菅桂子著『水戸黄門の食 元禄の食事情』では、水戸独特の料理法は共酢(ともす)で食べたとも書かれています。中でも元禄料理を世に広め徳川斉昭が編纂した『食菜録』文献が有名です。あんこうの中でも特に、あん肝は海のフォアグラとも称され、江戸時代の頃には「三鳥二魚」と呼ばれる5大珍味の1つに数えられています。三鳥二魚とは、鳥=鶴(ツル)、雲雀(ヒバリ)、鷭(バン)、魚=鯛(タイ)、鮟鱇(アンコウ)のことです。

あんこう鍋の豆知識

・あんこうは、どんな魚?
あんこうは、動物界ー脊索動物門ー脊椎動物亜門ー有顎上綱ー魚類ー条鰭綱ー新鰭亜綱ー真骨下綱ー側棘鰭上目ーアンコウ目ーアンコウ亜目ーアンコウ科ーアンコウ属に属します。アンコウ科のなかまには「キアンコウ」「シモフリハナアンコウ」「ノドグロヒメアンコウ」などがいます。日本で食用として市場に出回っているのは「アンコウ」と「キアンコウ」の2種類。またあんこうの寿命は長く10年程と言われており、オスよりメスのほうが大きく寿命も長く続きます。

薬剤師の食育コメント

あん肝とはあんこうの肝臓部分にあたります。あん肝は非常に豊富なビタミンDを含んでおり、全食品の中でもかつおの塩辛に次いで2位の含有量を誇ります。あん肝に多く含まれているビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を助ける栄養で、骨の形成を促進する効能があります。

食育大事典の郷土料理

あんこう鍋の作り方

食育大事典の郷土料理

郷土料理材料材料|2人分

  • あんこう・・・約200g
  • 白菜・・・1/4個
  • 大根・・・1/2本
  • にんじん・・・1本
  • 椎茸・・・6個
  • えのき・・・1袋
  • 水菜・・・1束
  • 水・・・600cc
  • 昆布・・・1枚
  • 醤油・・・25cc

郷土料理調理ステップ調理ステップ

  1. 鍋に水約600ccを張り昆布1枚を中火に掛けだしを取り醤油約25ccで味を整えます。
  2. あんこうの切り身白菜、大根、にんじん、椎茸、えのき、水菜等を鍋に入れ中火で煮て大根が透明になり煮えたら完成です。