芋煮(山形県)
里芋の収穫時期の秋から冬にかけて食べられる山形県の郷土料理「芋煮」。里芋と肉、野菜、こんにゃく、ねぎなどを入れて醤油や味噌で煮込みます。時期になると芋煮会があちらこちらで行われ、家族や友人たちと河原や公園などで芋煮を作るグループが見られます。山形県では地域活動や運動会などの炊き出しでも芋煮が食べられています。芋煮は、地域や家庭により味付けや具材が異なりますが、基本的には里芋と牛肉、こんにゃく、ねぎなどを醤油ベースのだしで煮込みます。ほっこりとした里芋と牛肉の旨みが溶け合った、温かくて美味しい料理です。
芋煮の歴史
旧暦の八月、十五夜の「芋名月」の日に、里芋を供える風習から芋煮が生まれたという説や、新米や新芋を神様にお供えし、収穫を感謝する儀式の際、里芋と棒鱈を煮て食べたのが芋煮の始まりという説があります。
他にも、1600年代半ば(江戸時代初期)、最上川での舟運が盛んな頃、船頭たちが荷受人を待つ間の退屈しのぎに、河原で里芋と棒鱈を煮て宴会をしていたのが始まりという説があります。最上川は京都や大阪との物流の要衝の場所で、米や紅花などの特産品が運ばれていました。船着場の近くが里芋の収穫場所であったこともあり、船頭たちは手に入れた里芋と棒鱈を鍋で煮て食べていたそうです。
芋煮の豆知識
- 芋煮に牛肉が入れられるようになったのは昭和の初め頃。内陸部で牛の畜産が盛んになった事で入れるのが主流になりました。
- 地域により味付けや具材が異なります。内陸部では牛肉と野菜を醤油で煮込んだもの。日本海に面した庄内地域では、養豚が盛んな地域であることから、牛肉ではなく豚肉が使われ、また豚肉に合う味噌での味付けが主流だそう。
薬剤師の食育コメント
タンパク質やビタミンB群、鉄分などの栄養素が豊富に含まれています。里芋のぬめりにはコレステロール値を下げたり、胃を守る働きがあります。また牛肉や豚肉には筋力を保つために必要となるタンパク質や、疲労回復につながるビタミンB群が含まれています。さらに、きのこ類には腸内環境を整える食物繊維や高血圧を予防するカリウムが豊富です。
芋煮(内陸版)の作り方
材料|2人前
- 里芋・・・300g
- 白こんにゃく・・・100g
- 長ねぎ・・・1本
- 牛こま切れ肉・・・300g
- 水・・・800ml
- 砂糖・・・30g
- しょうゆ・・・50ml
- 酒・・・20ml
【調味料】
調理ステップ
- 里芋は上下を切り落とし、皮を剥き一口大に切ります。
- 白こんにゃくはスプーンで一口大にちぎり、長ねぎは1cm幅の斜め切りにします。
- 鍋に水と①と調味料の半分を入れ、中火にかけます。
- 里芋に火が通ったら、②と牛こま切れ肉を入れます。牛こま切れ肉に火が通ったら、残りの調味料を入れ、中火のまま5分煮込み火から下ろします。
- 器に盛り付け完成です。
※ 芋煮の締めにカレー粉やルーを入れてカレーうどんにするのがおすすめです。