たっぷりの野菜に豆腐をくずし入れて作るけんちん汁は、鎌倉にある建長寺(けんちょうじ)が発祥と言われています。
豆腐と野菜を加えた精進の汁物料理が評判となり「建長寺汁」と呼ばれるようになったのが「けんちん汁」に転じたとされています。
また、中国より伝わった精進料理である普茶料理にも、けんちんがあります。「巻繊」や「巻煎」などと書き、ケンチャン・ケンチェンと呼ばれていたものが「けんちん」となったとされていますが、元々は細かく切った野菜や豆腐を具にして湯葉などで巻いて作る料理なんだとか。
現在では野菜を刻み、崩した豆腐と炒め合わせて作ったものを汁物にするとけんちん汁、蒸し物に仕立てるとけんちん蒸し、湯葉や油揚げで巻き込んで煮るとけんちん煮、といった使われ方をしています。