煎った大豆の粉であるきな粉をまぶしたモチのことを、きな粉餅やあべかわ、安倍川餅とも呼びますね。このあべかわ、元々は静岡県にある安倍川が、その名の由来なのだそうです。
その昔、安倍川の上流には金山があり、金の採掘で栄えていました。川のほとりの茶店では、つきたての餅にきな粉をまぶしたものを供していました。ある日、安倍川を訪れた徳川家康に、この餅を献上した際、餅の名を聞かれたところ、とっさに「安倍川の砂金をまぶした金粉餅です」と紹介したんだとか。
家康はその味と機転に感心し、改めて「安倍川餅」と命名された、という一説があるそうです。
安倍川餅は、きな粉だけをからめたものから、きな粉に黒蜜や砂糖を用いた甘いものへと変化し、東海道を通る人々に親しまれ、様々な随筆、紀行文に登場します。そういったことから、東海道中の名物としてだけではなく、きな粉を使った餅として、安倍川の名が全国的に広まったのかもしれませんね。